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レスポンシブルカンパニー

2023年に欧州では売れ残った衣料品の廃棄を禁止し廃棄物を削減するための新たな法律を発表しました

その際ある欧州議員が「私たちの地球、私たちの健康、そして私たちの経済に非常に有害な“手に取り、作って、処分する”というモデルを終わらせるときが来た」と発言したそうです

またそれに先駆けること2022年、衣料品会社・パタゴニアの創業者が自ら保有する同社の全株式を環境危機対策の取り組むNPOと信託に譲渡するニュースが世間を驚かせました

その額、日本円にして4300億円

その時、創業者でオーナーでもあるイヴァン・シュイナード氏はこう言いました

「パタゴニアはこれにより、地球が私たちの唯一の株主になった」

地球環境の未来について、近年の世界的温暖化、それが原因で招く様々な自然災害、コロナの要因が自然動物(コウモリ)と人間との接触からともいわれていますが、自然と人類とこれまで棲み分けられてた領域が侵されてきたことによって発生している事態

資本主義経済の発展によって安全、快適、便利な社会を享受する「功」がある一方で、その代償として自然資源を侵していく功罪の「罪」の部分が昨今クローズアップされてきていることでこれまでのイデオロギー(観念形態、価値感、信条)などの対立が増してきている様相です

勿論、何が正解か!または正解はどこにあるのか?ないしはどちらがいいのか?はわかりません(それこそイデオロギーの対立)が、それが混沌としている時代、時世になっています

その中でパタゴニア社の姿勢は一貫しています

本業はいわゆる衣料品の製造販売業ですが、ミッションステートメントは

「私たちが、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」とあります

まさに私(たち)が子供のころに見た「ウルトラマン」の出てくる地球防衛軍!のような・・・

つまりSFのようなことを同社は現実に謳っておりその実現に向けて自社の経営資源の全精力を注いでいます

正真正銘な民間の営利事業会社ですが、ビジネスを手段として、環境危機に警鐘を鳴らし解決に向けて実行することを目的にしています、

これは国家や国際機関、ないしはNPOやNGOならまだしも、民間企業の常識からみると「真逆」の概念です

産業革命がおこる18世紀から19世紀にかけては仕事の95%は人手か動物によって行われていて5%が機械で処理する、・・・でしたが、それ以降の100年、1960年には機械処理が95%。人手や動物では到底無理だったものが機械を使えばできるようになった(ジェット機を飛ばすのに必要な力は人間の70万人分に相当するとのこと・・・)

わずかこの100年の間に、文明の目覚ましい進化によって通念慣習や社会構造が一変してきているわけですが、その代償が自然環境を浪費し続けていることです

使える資源は減っていて、世界の人口は増え、しかも都市化している現象が続くことは、「地球が持たない!」ことに直結する

サスティナビリティ(持続性)という言葉が世界中のコンセンサスになる中で、自然を減らさないこと、なんなら戻すこと・・・戻せる以上に消費しないこと

自然の再生する力や豊かな生命を育む力を阻害せず事業を成立させること

資源搾取型経済から資源再生型経済の転換を図ること

パタゴニアが明確に提示しているこのような考え方は、私たちを含めた経済活動を行う企業にも必要な発想なのではないかと思います

繰り返しですが、多くの企業はここでいう「手段と目的」は逆です

株主はその会社の経済成長について、すなわち規模的拡大、つまり利益、それに連動する株価を求め、その前提条件(目的)を基にして会社としては社会貢献をしていく責任がある(手段)というのが一般的とされています

しかしパタゴニアは、株主が地球(実態は地球環境を考える団体)としている、それを守るために事業を行ってるとしています

発想の起点が違うわけです

さらに創業者はこう言っています

我々が自然の行く末を決めるのではない、自然が我々の行く末を決める!・・・しかし自然自体が声を上げることはないので面談したり尋ねたりすることはできない

自然の声が聞こえない以上事業者は予防原則に基づいて行動する

この意志、信念、姿勢!

私は企業の価値を示す指標としてこれは極めて重要になるものだと思っています

勿論、資本主義の否定ではなく、頭と体に染みついたこの経済概念の必要性とどう折り合いを合わせながらそれを実装していくか・・・

今年の闘魂塾のテーマは「セトレ2.0 姿勢を質す」ということで始めてきました

その要諦は「よい会社とは?」「よいホテルとは?」ですが、それは社会性とつながります

社会性は、勿論、環境問題に限ったことではありませんので他にも課題はあります

が、いずれにせよ「社会全体のためになるような企業活動をするのが会社」

というか会社が適正に維持され、評価されている、利益(維持コスト)を保たれてるということは、社会にとって良い活動・・・となっているものだと思います

パタゴニア社だけでなく、国内でもファーストリテーリング(ユニクロ)の柳井社長も

「社会貢献活動は自分たちの事業にプラスアルファでやることでなく、事業そのものが社会に貢献しなければいけないことに気づかされました。 「社会によいことをする」ことと自社の事業が一致していて矛盾しないのが大事なことだと思います」

と言っています

ホロ社が、「いい会社」になっていくために必要な座標軸だと思っています!

「いい会社」とはまさに「レスポンシブルカンパニー(社会に対して真に責任を持つ会社)」ということなのではないでしょうか