Company企業情報

Monthly reportマンスリーレポート

「倫理資本」

戦後大阪でビール王(元アサヒビール社長)、ホテル王と言われた実業家・山本為三郎が大阪中之島に現在のリーガロイヤルホテルを開業させたのが今から丁度50年前・大阪万博年!昭和45年
氏の口癖が「ホテルは人の集まりをつくるもので、人の集まるところにつくるものではない」そして「ホテルをつくることによってその都市の繁栄を計る」
の書き記しを読んだとき私は身震い?小躍りしました。その通り!!!何の由縁もない山本為三郎氏の想いを自分は継承しているのではないか!と勝手ながら思った瞬間でした。ホテルビジネスの成功の要諦は「立地」と私はこの仕事を始めた時に業界先輩方々、専門家の皆々様から散々聞いていたことでした。
それは「釣りは魚がたくさんいるところがベストポジション」って言っているのと同じくらい常識中の常識だって話です。しかし、常識的な話(つまり誰もが同意する話)と目的にする話(つまり意志)とはしばしば異なる場合があります。コミュニティホテルをやっていくという意志は当初「他との差別化」を謳う、ないしは「参入障壁が高いところから避ける」という理由から、手法的な発想はあったかもしれません。しかし、今、時を経て「他」がどうのこうのでなく、「自」の意志に変わってきました。それは、「これからのありかた、本質とは?生き方、生き様」を自分なりの頭で問いかけ、思い、考え、それを頭巡らし続けているからです。
これ、正解はない。というか・・・そもそもその人の「意志」に正誤はないと思います。このコロナ禍で強く実感したこと・・・
「正解がなにかが見えない」
まさにそれがVUCA(不透明)の時代という言葉まで蔓延しだしている時勢の中で,「無い答え」を探すことに意味はありません、答えは自らつくっていくことだとマインドセットする必要性を感じています。コロナで実感はしましたが、コロナが理由なのではなく、その事象をきっかけにして、これからの未来、社会の課題はたくさんあることが見えてきたようにも思います。
ホロ社は「地域資源を企画する」ことを、これまでは「ホテルという舞台装置(コト)」として、そしてこれからは「物販という材(モノ)」を通じてでも表現していくことを生業としていこうとしています。地域活性化、創生という文脈は、人口減少や高齢化に伴い労働活力が衰えていくであろう中においてこれからの日本経済の成長を支えていくひとつのキーワードになると思っています。また、日本の工芸、民芸といった日本独特の手技や風土、文化を残し継承していくことは日本のブランディング=国力の象徴でもある。だから、そこに貢献していくことは大義であると思っています。そのためには、人々ひとりひとりが、生きがい、やりがい、働きがいに溢れる社会になることがとても有意義で有効だとすることから、ミッション、ビジョン、バリューを設定しています。

さて、そんな未来社会のこと、そしてそのために私たちが今出来ることを、このコロナ禍でより一層考えるようになりました。
冒頭の山本為三郎の言葉から、私は「人の集まるところにホテルをつくる」という発想に意味はないと思っています、
「集まりをつくること」に意味があるのです。このコロナ禍でホテル、に限らず「集客施設」と呼ばれるところは壊滅的に危機に陥っています。しかしこんな話があります。

ドイツ・ベルリンにある「ミヒェルベルガーホテル」は完全に倫理的であるがゆえに成功しているホテルです
オーガニックだけの食材を使い、ジムの代わりの瞑想室があり、ヨガ教室が毎朝開催されている・・・つまり人間にとってのストレスがないホテル この類のホテルはパンデミックが起きても稼働が安定している
一方でその近隣の高級5つ星ホテルは倒産の危機に瀕している

つまり・・・ホテルでも「倫理的」であることが、競争優位になってきていることを示しています。
SDGsが今では誰もが目に触れるところに表現されるようになりましたがその背景や奥にある概念は裾野も広く根も深い・・・そして普通に生活している中(とりわけ安心安全・便利大国である日本においては)は実感知がピンと来ないところもあるかもしれませんが、これはわりと深刻な未来課題で、今後益々広がってくると思います。

まだまだその知識や意識が人によって、もっと言えば世代によってバラバラですが、それこそこれからの世代の人達にとってのスタンダードはこのSDGs、ないしはソーシャルとかエシカルといった傾向に寄っていくでしょう!
つまりそれは倫理性
江戸時代の経世家・二宮尊徳の名言
「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」とあります。
これは経済と道徳の両立の必要性を説いています。
私思うのですが、もはやこれからの社会においてこの「道徳」は、法律を犯すか否かのレベルや次元のことではない!つまり、殺人、窃盗、横領、騙し・・・などをしなければよいということではありません。もはや、未来、社会、人類、地球(環境)・・・といった視野視点における道徳・・・つまりそれは倫理感!そして未来社会課題に対する考え方。大きな話をすると、地球環境については、この100年くらい人類は地球を破壊して豊かさを実現してきた人類、しかし、これから100年はこの限りある地球資源を人類がシェアして豊かにしていく世の中になる。地球環境問題もエネルギー問題、そこから発したSDGsはこれが要諦でもあります。
さて、私たちが出来ることは何か・・・これからの経済社会において、経済価値は当然重要な指標であることは間違いありませんが、この倫理ある価値観や概念が消費者にとっての消費選択になることは間違いないと思います。
ホロニックの生業であるホテル・・・冒頭でも書きましたが「人が集まるところにつくる」という従来の常識は未来志向ではありません、「集まりをつくる」これは、このネット社会において物理的な集まりだけではありません。
価値観、意識に共感された人の集まりをつくることが出来ることが肝心です。それこそがホロ社が唱える「コミュニティ」、すなわち「つながりつなぐ」です。私たちの「価値観」「世界観」ないしは「共感を促せる力」にかかっています。そのためには「倫理感」を養うことがとても大事になってくるように思います。もう少し簡単に言えば「志」ないしは「意味」
19世紀に生まれた「資本主義」という経済システムはまさに文字通り「資力が本位」の主義でありますが、これからの社会では「志や意味が本位になる」・・・というかそれなくして経済は成り立たない、まさに倫理資本ということになるのではないでしょうか。
そのためには、私(たち)は自身の理念を高め続け、信念を築くことが大事です。
そのためには学ぶこと、磨くこと、心を養うこと・・・それを弛まなく続けること
改めてコロナという(10年に一度くらいやってくる)「100年に1度の危機?」を節目に、自分の頭と体のトランスフォーメーション(構造転換)していく姿勢と覚悟を持っていきたいと思っています。