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「プロの源流は“その気!”」

「お値段以上ニトリ!」のCMキャッチは多くの人が耳に触れていると思いますが、その創業者・似鳥昭雄氏が日経新聞・私の履歴書に執筆されたのが2015年

このシリーズは大体、大きな実績を残した人のこれまでの経歴を振り返る・・・ような構成なのですが、似鳥氏の場合、それ以降、さらに会社が持続成長を続けているのでそれは過去の歴史・・・というよりも、途中経過のような感じです

(当時(2015年)は年商約4000億円(300店舗)、現在は約1兆円(700店舗)ですから、実績を残した功績を振り返るという「私の履歴書」でなく「私の経過報告書」みたいな感じです)

それでもその履歴の軌跡があまりに破天荒で痛快で同じ創業者の端くれとして勇気や励みをもらいます

幼少の頃から、貧困、家族虐待、学校の成績も悪く先生からも仲間からもいじめを受けたり、不純異性交遊から女性問題で留置所に入ったり、ポン引きのような犯罪まがいまで、今でいう不良の道から反社会勢力のような境遇を経て、ニトリを起業した後でも騙しに合う、半分騙し?で資金融資を取り付ける、店舗トラブルから社内不正、権力闘争、相続問題・・・ありとあらゆる世間的にいう「ろくでもないことばかり」を目の当たりにして成長を続けたまさにたたき上げの創業者

氏曰く「仕事で失敗したり思うような結果を出せなかったりすると、人は「私は運が悪い」と考えがちだ、確かに運も大きい、私自身、ここまでニトリを成長させることが出来たのは80%が運だと思っている。だが、それは偶然の産物ではない。「運はそれまでの人間付き合い、失敗や挫折、リスクの大きい事業への挑戦など、深くて長い、厳しい経験から醸成される」

この「醸成」・・・文字通り「醸し出され成る」・・・まさに「熟成の味」、これに深みがある。

よく「成功」の反対は「失敗」ではなく「何もしないこと」と言われますが、(犯罪行為は行けませんが)犯罪まがいも含めたたくさんの行動(醸成)によって成功という結果へ熟成されていくのだと思います

また、似鳥氏が幼少時に父親に言われた文中の言葉が印象的でした

「おまえは頭の悪い人間が結婚して生まれた子だ、だから勉強が出来ないのは当たり前だ、

だから、人より努力するか、人のやらないことをやるかだ」

「人より努力しろ」とは、おそらく多少教育熱心な親を持つ子ならば誰もが言われた言葉だと思います

しかし「人のやらないことをやれ」と幼少の頃に言われた子はあまりいないと思います

かつての日本の学校教育(受験勉強等)、ないしは高度経済成長時(市場競争等)の日本においては、「誰か」という相手を設定して、それより優れることで競ってきた社会だったかもしれません。

つまり正しいゴール(アメリカといった先進国事例、ないしはそれによって実現された経済的に裕福な社会)が明確な中で勝ち上がっていく、勝ち残っていくための定石は「よりベター」にやることで「正しいレール」に乗れた、だから、「人より努力する」ことで多くが叶うと思われていた節が多い、逆に言えば「人と違うこと」はレースから外れる行為だとされていた時代だったかもしれません

しかし、その頃に「よりベター」でなく「いかにディファレンス」を叩きこまれ、それを素直に受け取った当時の似鳥少年の未来が今のニトリ!

客観的に見たら「不撓不屈の叩き上げ」ですが、本人からすると「人のやらないこと」にマインドセットされているわけですから、ひょっとすると無自覚だったのかもしれません。

私も創業して事業をしていますが、経年するにつれつくづく「よりベター」・・・つまり「そっちよりこっち」「これ以上にあれ」「あれと比べてそれ」みたいなことを続けていくことは、消耗戦でしかない、いつまで経ってもいたちごっこを繰り返す感覚になってきました。

「いかにディファレンス」を体現することで、市場を創造し、事業を成功に導くのが経営者

経営者はいわずもがな、「経営のプロ」でなくてはいけない

しかし、まだまだプロとは言えない、ないしは未熟な経営者は私含めたくさん存在しています

果たしてその「プロ」とは何なのか・・・いわずもがなそれは「アマ」とは違います

私は兼ねてからその違いを「アマは好きなことをしてお金を払う、すなわち趣味!・・・一方好きなことをやってお金をもらう、それがプロ」とふわっと言っていました

商売(ビジネス)においてのプロの仕事は稼ぐことです

社会貢献も、SDGs活動も、商売の世界では稼げば叶えられることで、そういった意味でその際たる最適行為が「納税」です・・・納税は稼げなければできませんし、納税されて困る人(から会社、社会に至るまで)はいませんし、最もわかりやすい社会貢献のありかたです。

それを、出来ることならば、やりたいことをやって(やりたいことでなければ持続できないのが普通の感覚です)実現することがベストです

私たち事業人は、プロになることで人生の充実を図れるといっても過言ではないと思います(目を覚ましている時間の多くを仕事に当てているわけですから)

似鳥氏がプロという概念について語っていますが、それに共感することが多く、少しその語録を紹介したいと思います

<プロとは>

プロを動かすのは、理論でなく、思想であり見果てぬロマンとビジョンである

プロとは障害を認めない人である、したがってどのような障害があっても求める必要な結果を必ず達成する

プロとは常に現状における、自己否定を繰り返し自己革新を続ける人である

従って、3か月経って、何の変化もなければ既にプロではない

<アマとプロに違い>

アマはこれがあるから出来ないという(出来ない理由を掲げる≒困難から考える)

プロはこれさえあれば解決出来ると考える(出来る理由を探す≒可能性から考える)

<プロの人生>

プロの共通条件は、旺盛なる向上心とあきれるほどの好奇心

そしてどんなことにも拒否反応を起こさない柔軟性

プロはどんな難しい仕事でも、辛いと思ってやってはいない

難しければ難しいほど楽しんでいる面がある

逆境は最高の教育の場、困難を自ら作り出しそれに挑戦する気力のない者にはチャンスもない

総じてプロ意識というのは自然性(じねんせい)・・・自ら燃える性質のある人なのだと思います!

常に、進化や変化を求め、失敗を恐れない・・・というか失敗を実験に置き換えられる発想でしょうか・・・

気付きや発見に弛まない関心を持ち努力できる人種・・・そこにハウツー(HOWTO)はなく、感性としかいいようがありません

感性は天性の才・・・つまり「天才」の言い換えと思いがちになりそうですが、そうではありません

天才と言われた元大リーガー・イチロー選手も言っています

「天才は努力をせずにコトが成せる人のことだとしたら私は天才ではありません、もし努力をしてコトを成せる人を天才というなら、自分は天才といえるかもしれませんが・・・」

つまり、感性も努力で身に着くものでしょうし、また運も努力によって近寄ってくるのだと思います

そう考えると、自然性を持つプロは、その気になれば、誰もが目指せるわけで、それが叶えば、ホロニックの社名の意味に込めた「自立(律)した個人の組織的融合(つながり)」は青天井的に作用していきそうな気がします

参入障壁は「その気」・・・ただそれだけなので決して理想的なロマンではありません

そんな現実性を帯びた理想を描きながらこれからも経営をまい進したいと思います!