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マンスリーレポート

2008年10月

スコアを付けないゴルフ

 

今年もあっという間にあと3ヶ月を切りました。
個人的には今年は厄年で、色々な方からもそれを指摘されるなどして、あまり信心深くない私でも多少は意識して生活しておりましたが今現時点では大きな厄介なことは起きていないのでは?と思っているところです。
ところで、この秋口以降各方面でホロニック社のことを講演などでお話をさせていただく機会が増えました。
業界関係者、ベンチャー関係、能率協会といったマネジメントの専門家の主催する関係、学生など様々な方面に向かってお話することで大変学びになることが多いことを実感します。
基本的に同じこと(これまでやってきたこと、これからしていきたいことはブレるものではないので)を話す訳ですが、聞き手がそれぞれ違う立場(同業界の人と他業界の人、学生とビジネスマンといった具合に)である場合、ポイントをずらしていかなければいけない、つまり聞き手の立場に立って話す内容、話し方を変える。
そんな当たり前のことでも抑揚のない話し方になってしまう私にとっては結構試練だったりするわけですが、そんなことも含めて随分勉強になります。
自らが発信(アウトプット)していくことで、頭の中が整理されてくる、もしくは自分の頭の中でもやもやとしていることなどが浮き彫りにされてくることがあるということに気付きます。
“学び”というのは本を読んだり、誰かの先生風情の方々からの話を聞いたりといったインプット型が定石のように思っていましたが、いやいや自ら能動的に「発してみる」ことによる学びはかなりありますね。
そんな人前でお話している中で一貫してはっきりしゃべっていることがあることにも最近気付きました。
皆さんにもことあるごとに話していることですが・・・
「お客さまは・・・“誰が来るの” “どこから来るの” “なぜ来るの” これが即答出来る経営者、幹部、または社員、アルバイトに至るまでいたらその店(ホテル)は必ず繁盛している」
私たちのようなお客さまを待ち受けして、“サービス”という目に見えない「時間」や「空気」を提供していく仕事をする者にとってのこのことは基本的な認識事項だということを今私は確信しています。
これを少し横文字で言うと
「ターゲット」「マーケット」そして「コンセプト」
「コンセプトでメシは食えねえ!」というコトバはよく現場から聞こえてきます(当社に限らず!)
そう確かにコンセプトがあれば売上が必ず上がるというものではありません。
現場スタッフは毎日の売上、利益に奔走していますから、なかなか確信的に立証出来ないような
「概念」というものを信じることは難しいのです。
現場スタッフに限らず経営者であっても一緒です、
明日支払うカネがないと奔走している最中にコンセプトなどといっている余裕などないでしょう。
そう余裕がない段階で、「コンセプトが大事」といきなり持ってきても後の祭りなのです。
コンセプト設定は、モノゴトの始まりもしくはリセットする時、モノゴトを上手く進めていくための準備でありツールでもあると思います。
運動で言えば「基礎体力」です。
私もホロニックを創業してから随分たくさんの失敗をしましたが、その失敗のほとんどがこの
「コンセプトの設定」の甘さです。
そう足腰がしっかりしていなかったわけです。
野球でピッチャーとして成功する要因は「地肩のよさ」ではありません。
当然地肩が優れているのは有利ですが、しかし成功しているピッチャーの共通項は「足腰の強さ」そう「下半身の安定度」です。
運動でもビジネスでもそれは一緒だといえるでしょう。
私たちは、地に足の着いていない会社や事業が日々どんどん潰れていっているのを目の当たりにしています。
以前の私は、以前のホロニック社はそれに気付かず、上手くいかないのは「時代にのせいか?「消費者の傾向か?」「スタッフが頑張らないからか?」などと恥ずかしながら自分に矢印を向けていませんでした。
そして何が起きたか
そして誰もいなくなった!
これは少し言い過ぎですが、自分の周囲に負の矢印を向けている限り、周囲が(自分から)去っていくのは当然のことですよね。
そんなことに気付かない人、そんなことに気付かない経営者だってたくさん居るのです。
今の自分が立派だとも全く思いませんが、かつての自分を振り返って完全に経営者失格なのでした。
「木見て森見ず」というコトバがありますが、組織は経営者はじめ、みんなが目の前の木ばかり見ていたらどこに向かうのか見えない状態で走っているようなものです、
だから、「どこに向かっていくのか」と「どこの土俵で戦うのか」を予め決めておくことが大事
つまり「コンセプトでメシは食えねえ」けど「コンセプトがなければモノゴトが始まらない」と考えるのが妥当、そしてコンセプトを決定するのは組織のトップ、もしくはリーダーであるということです。
よく例えに出す話ですが「ゴールのないマラソン」ってイメージ出来ますか?
どこまで走ればいいのか設定されていないランニングをする人はいますでしょうか?
どのくらいの時間で走るか目標設定しないランニングは楽しいでしょうか?
ゴルフでも一緒です
ゴルフ競技は18ホール、72打で上がってくればいわゆるアンダーパー、プロ級です。
プロに限らずその18ホールの中で1ホール毎に3打とか4打とか5打とか、一応基準が決まっています。
それをいい大人達がちまちま?スコアを付けながら相手と競ったり、自分の記録に対して神経をすり減らし?ながらプレーします。
調子の良し悪し、いやスコアの良し悪しで一喜一憂する。
何が楽しいのか?・・・となりそうですが
しかし、ではこのゴルフ、スコアを付けないで回るとなるとどうでしょう?
まずはまあそんな人は皆無です、
なぜなら・・・おもしろくないからです。
“目指すもの”があるからおもしろいでのではないでしょうか?
どこに向かうのか、どこでやるのか、それがはっきりしているから、それに対するモチベーションが高まるのではないでしょうか?
よく「何せ頑張れ!」と部下を指導するリーダーがいます。
「どこに向かって頑張るのか」、「何を頑張ればよいのか」「頑張れば何が見える(得られる)のか」
それをリーダーは示していますでしょうか?
それを示されていなかれば、もしくは示していてもそれが伝わっていなければ、決して組織は機能していきません。
まず何に頑張るのか
「向かう方向」「どこでやるのか」
コンセプト(なぜやるの、なぜ来るの)、その基本、ターゲット(誰)やマーケット(どこで)を決めていくのが重要だということです。
ホロニック社は株式上場を目指しています、
自社のホテルブランドの構築を目指しています
なぜか
ホロニック社はホテル業界における、もっというと「コミュニティホテル」という土俵を創ってそこでのパイオニア(開拓者)となって、ホテル業界の市場産業化、そう「地位向上」をして日本のサービス産業に大きな影響を与えたいのです。
だから、上場する、だから自社ホテルブランドを創る
だから、今のやっているホテルの収益性を高めなくてはいけない、イメージを高めなければいけない
だから、(収益性を高めるには)生産性を高めなければいけない、
つまり効率的な運営をしなくてはいけない、
効率的とは・・利益額や利益率を高めるということ、
利益〔額・率〕を高めるには、原価を抑えるか、付加価値を高めるしかない、
でも原価を必要以上に抑えたらお客さまから支持を得られない、
すると売上も上がらない、
だったら付加価値を高めるしかない
この「付加価値を高めていく活動」
これが現場の皆さんの役割
付加価値を高めていくということはどういうことか?
お客さんから喜ばれることです
お客さんから選ばれることです
そう「サービス力を高める」ということです。
これは今期のホロニック社のテーマですね
サービス力を高めることが、ホロ社の向かう大義につながっています。
今年もあと3ヶ月、下半期に入り改めてこの「サービス力を高める」ことに一点集中していって欲しいと願っております。
するとホロニック社の目指すものが見えてきます。
日々の皆さんの頑張りの先に、結果、ゴールが見えてくるはずです。
 
長田 一郎