経営理念

HOME > トップメッセージ > マンスリーレポート

マンスリーレポート

2016年11月

お客様が神様でなくなる時代へ!

戦後まもなくして高度経済成長が始まった頃からバブルが崩壊するまでの間・・・

おおよそ今から60年前から10年ほど前のおおよそ半世紀の間!お客様は神様でした!

というよりも「神様」であることが全ての人にとって都合のよかったことでした!

売る方も、買う方も、モノがまだまだ不足していた時代は、良いものであれば欲しい、モノが充足してくれば、

「さらにそれより良いもの!」と言った具合に買うニーズが高まっていきます モノの充足がなにより心の充足につながっていました。

欲しい人=お客様(買う人)がたくさんいるわけですから、売る人は買う人(お客さん)を神格化しておけば、ドンドン買う行為が増え、

買う人はどうせ買うならば、上げ膳、据え膳、なんでも言うことを聞いてくれる、下僕(しもべ)か手下みたいな立ち振る舞いをしてくれる人が

都合がよい、 “下僕”風情の売り手も、立ち振る舞いでファンになってくれるので、ドンドンその「技術?」が向上していきました しかし、

時代は少しずつ、しかし確実に変わってきています 「欲しいものがない!」・・・・これが今の日本において大変重要な問題なのです。

必要なものは、いつでも・どこでも・誰からでも手に入る時代です 物欲が減退してきたのは、モノが溢れまくっているからです。

そんな時代の中ではまさに「お客様は神様」と祭り上げたところで意味はありません。

「もみ手の売り手」(わりとおじさん人種に多い)はしつこい、気持ち悪いとまで言われてしまいます モノを欲さなくなってきた時代、伝わらない時代!

に求められるニーズは果たして何なのでしょうか?

昨今、「食べる通信」http://taberu.me/ というメディアが全国に広がってきました 。

この現象を私は大変注目していますしホロ社もこの活動、組織に関わっています 。

これは一言でいえば「食べものつき情報誌」 食の安心、安全が強く叫ばれる昨今、オイシックスやコープといった企業が食材をお宅まで配送してくれる

サービスは一般的になりました これらの食材の中にはどんな食材が入っているのか・・・という商品案内書が同封されています。

しかし、そこにはその食材の生産者の想いなど詳細なことはさほど書かれていません それが普通です!

この食べる通信は、この「想いなどの詳細」をメインの商材にして・・・つまり「情報誌」そのものが商品で、それに食材が付録で付いてくるというものです。

(ちなみに昔、グリコにはおまけがついていましたし、ブルートレインガムにはブルートレインの写真カードがおまけについていました。

そのおまけ欲しさにガムを買う、グリコを買う、最近ではAKBのCDの付録が総選挙投票券や握手券なわけですが、その券が欲しいがために何枚も要ら

ないCDを大量に買うなんていう社会現象まで起こっています)

ここで重要なことは「モノ」が大事なのではないということです 。

はっきり言って野菜でも肉でも魚でも、どこでもいつでも誰からでも、しかもそこそこの品質のものが買えます つまり、お腹を満たすためならばそこそこどう

にでもなる時代です 。

大事なのはその「モノ」を取り巻く背景をいかに共感してもらえるか、すなわち「コト」の精度が肝心です!

「コト」だけにそれは個人の価値観、価値意識によってかなり十人十色、いや一人十色くらい多様多彩です まさに売り手は、買い手の都合にあわせるの

は極めて困難なわけです だったら、買い手の顔色見るよるも「心正しい売り手の想い」をしっかり伝えていくことの方がよいのです!

特に食材は魚も肉も野菜も生き物です、つまり「自然の産物」です 私達人間の思い通りにならないことも多いわけです。

何でも思い通りになってきた(してきた?)人間社会において、思い通りにならないことへの憧憬が高まっているような気もします。

自然現象を受け入れること自体が自然な生き方と見直される機会も増えてきたように思います! こんなことがあったそうです。

「食べる通信」は定期的に生産者の活動を紹介した雑誌が届きます、その付録でもある食材も届くわけですが、魚は海の状況によって、

こちらの思惑通り獲れないこともあるのです。 それによって「食べる通信」が決まった日に送ることができないということが起きたりします。

そうなると雑誌の商品価値が下がる、下がるだけならまだしも、読者であるお客さんからクレームが来ることは容易に想像できます。

あるときまさしくそんな事態が直面しました、、、、「食べる通信」の編集者は勿論のこと、漁師さんも慌てます!

なにせ約束どおりに商材を届けられないわけですから 謝罪ならまだしも賠償だとかなんだとかになりかねない事態を覚悟し、

読者(消費者)にお詫びの連絡をしたそうです 。そしたら何と!その反応の多くが「励まし」だったそうです。

「私達は箸を片手に口を開けて待っているだけですから、漁師さんたちが命を賭けるようなことはなさらないですくださいね!

楽しみは先に延びたほうが倍楽しいですから」 「自然相手ですもん!予定通りいくほうが難しい」 「果報は寝て待てだ!」

と言ったたくさんのコメントに溢れたそうです 。

まさにお客様は神様ではなくて、さらには消費者という立場を越えた「作り手に寄り添う共感者」へと変貌を遂げていったということです。

また一方でこのような温かい消費者の声に生産者は甘えることなく、新たなことを学んでいく こんな美しい話です。

このようなかつてで言えば消費者立場の常識から外れた現象が、今随所で見られるようになりました これは決して食の業界だけの話ではありません。

10000人の消費者よりも100人のファンや仲間 絆によってつながる関係性から確かな消費が生まれてきます。

まさにこれはホロ社でいう「つながりつなぐ活動」が発展していく行く末の姿なのだと思います。

今まで、主従関係が常識化されていた「売り手と買い手の関係性」ですが、確実にそれでは成立しない時代になってきていると思います。

昔の言葉で「主客一体」これは茶の湯の世界から出てきた言葉ですが、共感される関係性から新しい価値や関係を生み出す時代になってくることをひし

ひしと感じます。 消費のあり方も確実にそれに添ってきていることを感じます。

「つながりつなぐコミュニティ創出企業」を目指すホロニック そしてホロ社はその道をしっかりぶれずに辿っていきたいと思います。