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マンスリーレポート

2016年02月

「応援される会社へ!」

昔、あるところに非常に腕にいい「のこぎり職人」がいた.

焼き入れの技術、削る技術など、どれをとっても一流でその腕に惚れ込んでたくさんの顧客がついていた。

ところが時代が進むにつれて、のこぎりの需要が少しずつ落ち始めた。

そこでこの職人は、顧客の要望に対して丁寧に耳を傾けるようになり、それぞれの個客の使い方に合わせて握りや削りを調整するようになった。

さらに、多くの顧客が価格を安くして欲しいと訴えたことから職人もその要望を聞き入れて、安価な「のこぎり」をどんどんつくるようになった、

その結果、商品の種類も増え、顧客にも充分に満足してもらえるようになった。

しかし、そんな努力をしたにも関わらず、やがて商売は立ち行かなくなり結局は、店を畳まなくてはいけなくなった。

実は、その頃、世の中では「電動のこぎり」が使われるようになり、職人がつくってきた「伝統的なのこぎり」はほとんど使われなくなっていたのである。

職人が努力して安価で良質なのこぎりをつくろうとしても、誰も見向きもしなくなっていたのだ・・・

この話はたくさんに示唆与えてくれています。

更に続けると・・・・

 

考えるのは「この職人はどうすればよかったのか」ということである。

選択肢は色々あったはずだ。

ひとつは価格を安くして欲しいという顧客の要望を聞き流して伝統的な製法に立ち戻り、ひたすら職人の道を究めるという方法だろう。

時代が移り変わっても、伝統的な高い技術に対する需要は少なからずある。

多くの職人が目指すだけに、そこに勝ち残るのは決して容易なことではないが、価値づけがうまくできれば、

少数ながらも何人かの顧客の支持を得て、継続性のある商売を実現することが出来たかもしれない。

他に思い浮かぶのは、電動のこぎりの分野に思い切って進出してみるという選択肢だ。

未知の領域に足を踏みいれることはリスクもある。

全く知見も、知識も経験もないわけであるから、相当な勇気も必要だし、何よりも伝統工芸を守る職人として容易に捨てられないプライドや

意地もあったかもしれない。

だが、もしその職人が自分の固定概念を破ることが出来れば、そこに新しい道が開ける可能もあったはずだ。例えば電気技術の分野に精通した人の協力を得れば新しい領域の素地が無くても商品化に取り組める。

また職人としての技術にこだわるにしても。伝統技術と先端技術を組み合わせる方法もある。

さらにいえば、鍛冶の技術のように、のこぎり製造で培ったノウハウを利用して、もっと市場が大きいハサミやナイフづくりを始めるという選択肢もあったかもしれない。

考えれば考えるほど、もっとやりようがあったのではないかと思えてくる・・・・

 

さて、このような「のこぎり職人の話し」はビジネスの世界では今いたるところで起こっているように思います!

市場そのものが他の商品やサービスに代替されようとしている中で、その前提を受け入れることが出来ず袋小路に迷い込んでいることは少なくありません。

しかし、その前提と言う「フレーム」を外して少し自由な視点で今の状況を見詰めることが出来れば、たったそれだけで違った解決策が見つかることもあります。

そしてどの選択肢を選ぶかについては、数字から分析した市場の大きさだけでなく、その企業の掲げる理念と「私は、自分達は・・・こうしたい!」と言う強固な意志に基づくべきだ!

この「のこぎり職人」の話しにしても、本当は何をしたかったのだろうか・・・そこがこの話の大きな「テーマ」「焦点!」なのだと思います。

何をしたいかが不明なまま、志低く場当たり的な対応する職人を心の底から応援したくなることはないはずです。

もちろん「職人の道を究める」ことや「電動のこぎりのような新しい分野に向かう」ことが必ずしも正しいというわけではありません、全く異なる選択肢ほかにあるかもしれないし、そもそも何をよしとするかについては究極的には「その人それぞれ」なのかもしれません

ただ、もしかしたら自分はこの「のこぎり職人」と同じ状況に置かれているのではないかと「自問自答」する姿勢を常に持つようにした方がよいのではないかと思う今日このころです!

言葉遊びのようですが、ひらがなで書くと「でんどうのこぎり」と「でんとうのこぎり」・・・

たった一文字、しかも濁点があるかないかだけの違いです。

しかし、たったそれだけで、市場も違えば未来も変わって来るという話しです。

こんな些細な違いを生み出す一歩を踏み出せるかどうか・・・これが今、私たちホロ社を含めたあらゆる企業に問われているのだと思います。

そして思い切って踏み出すのだとしても、それが人々や社会の「しあわせ」を強く意識した高邁な志に基づくものであるかどうか、そこも問われています。

ホロ社が築こうとしている「つながりつなぐ、紡ぐ活動」は人々や社会をしあわせにしていくことにつながっているのであろうか・・・

そんなことに試行錯誤、そして七転八倒している最中です!

このストーリーを紹介してくださった応援したくなる企業の時代」という著書の著者はこう書いて締めくくっていました。

「もし志ある一歩を踏み出すことが出来たならば、これからの時代はその企業の背中にはたくさんの人たちからエールを送られることになるだろう」と・・・・

ホロ社はそうなりたいと強く望んでいるのです!