名古屋セトレからの始まり
6月18日、約8年ぶりのセトレの6店舗目が名古屋に開業しました
今回のロケーションは名古屋駅からほど近い都心部、そして再開発地域でもある運河エリア
セトレは舞子の1号店では「海」、そしてびわ湖の「湖」、姫路は「山」でしたが瀬戸内海を眺められ、長崎も絶景ではないけど「港」、そして奈良では「池」が目の前に広がっていました
そういった意味で今回は「運河」・・・水つながりがつながっていることになります
運河ということから、この場所はかつて、船舶による物資輸送、つまり物流の拠点になったような場所、そういった意味では倉庫や貨物などが立ち並ぶ、いわば一般の人があまり立ち寄らない風光明媚とは無縁な地域だったとのことです
国内にはいわゆる「港湾エリア」というのが点在していますが、近年では貿易等による船舶輸送などの物流も減少していくことから、新たな再開発が進んでいくのが時代の要請的に取り上げられ、人流による賑わいをもたらすエリア開発などが進んできています
ホロ社が本社を構える神戸市もかつて港には堤防状の構造物である「突堤」が広がっていましたが、今では「TOTTEI」と変えてアリーナを中心にしたエンターテイメントパークに変貌しています
本プロジェクトもその一環として、名古屋市の市有地にJR東海のグループ会社が中心になって開発していくという流れで「中川運河再開発プロジェクト」として公募採択されたところが今日の開業に至っています
これまでのホロ社のホテル立地を選定してホテルを企画していく・・・というケースと違って、開発エリア全体の賑わいを目指す中で軸として滞在施設機能・・・としてのホテルという位置づけであったわけです
約2年前にホロ社が神戸市所有の舞子セトレの土地の賃借継続の折に企画提案した「KOBE WEST PARK構想」は、セトレ当該地だけでなくその周辺の公園や砂浜、また明石海峡大橋とも協働し「園」全体に賑わいをもたらすエリアの魅力を高める
言わば、「エリアの魅力を高める地域の活性化」という題目の中にホテル・・・ということの視点が評価されたことがありました
私としては、それまでホテル(式場やレストラン)の経営・運営、いわゆるハコモノの価値を追及していくことを主眼に見てきたこともあり自身の視座が上がったことを実感しましたが、今回の名古屋では当初からその視点が必要でした
本プロジェクトの当該地は当初、ホテルとしてのポテンシャルは全く見据えられませんでした
その時に見えている姿だけを見て、過去のそのエリアの背景も伴って全くイメージがつかなかったのです
しかし、プロジェクトに帯同していく過程で、今(誰もが見える)だけを見た評価で事業を判断するところに違いのある競争優位性は出てこないことを後に感じるようになってきました
誰でも可能性のあるモノ(コト)には飛びつく
誰もが飛びつくわけではないモノ(コト)にこそチャンスが生まれる
そのような見方が新しい事業を興す時には必要です
しかし、だからこそ一方で、着想する力や独創性の観点が絶対不可欠になります
そこに意味があるのか?それをすることに(自分自身の)哲学があるのか?大義があるのか?
その問いを続けることが当初から求められました。
本案件をお声かけいただいたのは、今から4年ほど前の2022年だったかと思います
その時点ではまだ事業決定する前段階、、公募に申し込むためのチームの座組をつくる段階でした・・・つまり、まだ事業性があったとしてもそれが叶うかどうかわからない・・・
ホロ社の当時の状況は、コロナ真っただ中、既存事業をどう立て直していくかに奔走している中で、可能性が推し量れない事業、しかもそれが叶うかどうかもわからない、そんなプロジェクトに参画する身も心も余裕などありませんでした
つまり、逃げ腰だったことを覚えています
それでも、参画会社(チーム)からの熱望や、主体であるJR東海グループの社長はじめ皆さんがセトレやPOTELに足を運んでいただき、そのコンセプトに共感共鳴していただき切望していただきました
そのような関係性や信頼関係を築いていく中で、ホロ社として可能性を見出していく方向に向いていきました
セトレはこれまで、ホテル適地でない中で立ち上げてきた経緯があります
会社の資力含めた力が不足しているので恵まれた条件や依頼があるわけでもないので、どこもが、誰もが断ってきたような案件が最後当社に回ってくる・・・そんな感じでしょうか
そんな中で限られた(残された?)魅力を引き出すことに腐心してきた歴史があります
そのために、色々着想する力・生み出す力・・・いわば知恵熱を発症?させて頭と感性を磨くことを繰り返していました
経営の神様と言われたパナソニック創業者・松下幸之助翁の言葉
「執念ない者は困難から発想する、執念ある者は可能性から発想する」という名言があります
「困難から発想する」とは「出来ない理由」「無理、難しい、リスク」を主体に考える思考
「賢者は歴史から学ぶ」という格言もあり、過去の事例がないことの成功確度が低い(困難)というのも事実ですのでその行動や思考が必ずしも間違っているとは思いません
しかし、それでは「違い」は出せません
経営資源の乏しい中小企業にとっては、時に「間の違うリスク(≒間違い)」に向かわなければ決して「違い」を出すことは出来ない
今回のプロジェクトにおいては、まさに可能性を見出していくプロセスでした
そのための優先事項は「セトレの成功」ではありませんでした
自利的起点ではなくて、中川運河エリアの賑わい創出、そこに人流が出来て、居心地のいい場所、足が向いてしまう場所、心豊かになる空気感のある居場所を創ること・・・それは「公園」(パーク)なのではないかと・・・そのパークにより滞留してもらう(滞留したくなる)コンテンツ(手段)としての宿泊施設それがホテル、それがセトレ(というコンセプト)という順番です
結果的にセトレの成功は欠かせないわけですが、目的的にはエリア全体の魅力(価値)を高めることです
JR東海グループでは沿線開発、、つまり駅周辺や沿線の土地の価値が上がっていくことは企業価値に直結するわけです
これまでほぼ鉄道(収入)による事業が主力だったところから周辺ビジネスに軸を移していくのはこの人口減少に向かう中、企業の持続可能性を問う上では必然でもあるわけです
エリアを開発していくプロジェクトは官民共に社会的にも意義もある長期的な成長戦略のひとつでもあります
まさにそれはセトレというホテル事業だけで担えるほど簡単なプロジェクトではありません
未来、将来を見据えた社会にとって有益、有意義なインフラづくりです
これからホロ社の事業の基点も変わってきます
この名古屋セトレから「脱・ホテル」ならぬ「超・ホテル」を始めていこうとしています
ここ数年、異業種、それも公園や美術館、球場や図書館といった社会インフラを開発していく組織がホテルをつくる動きが増えてきています
その逆でホロ社はホテル会社が公園や美術館などを創っていくという着想を、ある時思いつきました
「思いつき」とは、あまり事例や実例がないのが定石です・・・
ただこの「思いつき」が大きな差別化、競争優位性を呼び起こすのではないでしょうか?
また、この「思いつく」という感性がこれからはAI時代の隆盛と言われる中、人がやる仕事の領域にとって肝心なことでではないでしょうか?
ちなみにAIにはこの「思いつく」ことは(現段階の世の中では)できません
「思いつく」が、人ならでは最大の武器
いや、むしろ、この「思いつく力」がなければ今後、人としての価値がなくなっていく・・・かもしれません
見えないモノが見える、そんなことは現物、現実主義の人にとっては意味不明かもしれません
しかし、今後、目に見える事象や答えのある問いはAIで解決してしまう、というのがこれまた現実になっていくのではないでしょうか?
だから、人ならでは・・・となると、想像力や創造性(クリエーション)、構想力、繋げる力(プロデュースとかディレクション、キュレーション)が要るではないでしょうか
関係性という人独特な信頼関係、それも目に見えない感じるものです
そのためには魅力(チャーム)が欠かせません、、それも目に見えません
曖昧で混沌・・・明確な物差しのない、スキルとは違う・・・まさに感性!
今後、感性(センス)の価値が益々上がっていくでしょう
今回の開業にあたって発想した源流を振り返り、今回、新たなセトレがスタートしたのだけでなく、新しい概念(価値観)がスタートとしていきたいと位置付けたいと思っています