「STREからPOTELが誕生」
2020年6月開業予定のJR西日本との合弁会社で経営する「梅小路POTEL」の開業準備室が今月から始動開始しました。
1年後の今頃は144室のセトレに次ぐ新たなブランドホテルがスタートする予定です。
JR西の社宅跡地(約5000㎡ おおよそサッカー場1面弱)、京都駅から徒歩15分、3月に開業した山陰本線「梅小路京都西駅」から程近く、
真横には京都市水族館、目の前は広大な梅小路公園が広がる開放感あふれる立地です。
巨大な資本、インフラ、財産を保有するJRの力と、アイディアや発想といった企画を得意とするホロ社の力という2つの「力」を
併せてひとつに事業に協働で向かっていくというプロジェクトです。
当初、この地(場所)の有効活用案には様々な議論があったそうです。
商業施設、ビジネスホテル、はたまた土地だけ貸す、土地活用(デベロッパーなど)事業者に託す・・・など様々な検討、検証があったと聞いています。
その中で、ホテル・・・だったわけですが、JR西はいわゆる「グランビアホテル」という都市型の複合型グランドホテル、
一方「ヴィアイン」という宿泊特化のビジネスホテルの両極の業態をグループで展開しています。
前者は、駅上、駅前という立地優位、かつ自社保有の場所(駅上、駅前は電鉄会社が所有している)、後者は、繁華街、また駅近といういわば、
「人がうじゃうじゃしているエリア」に展開するという圧倒的な立地優位性を持った場所に展開しています。
いえば「場所勝ち!」です。
今回の梅小路はどちらにも該当しない、加え観光中心地でもリゾート隣接地でもない・・・言ってみれば「中途半端な場所」でした。
そんな場所でホテルを経営するノウハウがない、加えて他業態においての活用を検討した結果その事業優位性を評価できなかった
ということからホロ社に相談が舞い込んだところからスタートしています。
つまり、「ホテルをやってくれ」と言われたわけでなく、「セトレのようなホテルはここで成立するのか?」ないしは、
「この土地で成り立ち業態はあるのか?・・・」といった「遊休地の有効活用企画」という切り口でした。
セトレのある場所は、駅前でも駅近でもありません。(駅上であろうはずもない)、繁華街でもありません・・・つまりホテル適地ではありません。
かといって、観光地、リゾート地というわけでもなく、しいていえば「居住立地」です。
当たり前ですが、居住立地はホテル適地ではありません・・・居住適地なわけですから・・・
しかし、10余年私たちは、そんなホテル適地でない場所で戦ってきました。
その理由のひとつは、資本のある会社でなかったからです。
もし私が2代目、3代目の社長で先代の社長が蓄財して土地などを保有してくれている会社だったら(または大資本企業の経営者だったら)
また違っていたかもしれませんが、根っからのベンチャー会社です。
腕1本、頭1つで勝負する(というかせざるえない)環境からスタートしたわけですから仕方ありません
もうひとつの理由は、資本がないゆえに、資本集約産業(ハコモノ装置産業ともいう)と言われる中で、どう生き残り、勝ち残っていくためには、
新規性、独自性、差別性を生み出していく戦法しかなかったからです。
そこに腐心しながら、やってきました。
「居住地域≠ホテル適地」ですから、普通、宿泊者など来るはずもありません。
来街者が来る理由がないわけなので、そこで宿泊施設をつくったところで普通、宿泊客は来ません。
釣りをする際に、釣人誰もが出来たら魚が集積している場所に釣糸を落とすに決まっています・・・よね?
ただ、そんな場所は釣人も集積していて、場所取り合いなどの争いが巻き起こるに決まっています・・・よね?
だからと言って、集積していない場所を喜んで確保する人などいないに決まっています・・・よね?
それと同じですが、ホロ社も喜んでその場所を確保したわけではありません。
ただ、当時競争に巻き込んで勝てるだけの資本力も競争に勝てる力も兼ね備わってなかったわけですから、違う土俵で勝てる方法を模索するしかなかったわけです。
だから、必然的に場所勝ち出来ないところでいかに勝つか!というのが最大にして唯一の課題になったのです
「泊まる理由のない人に泊まってもらう」にはどうしたらよいのか??
これは「泊まる理由の溢れる場所=好立地にホテルを造るのが事業成功(競争優位性)の必須」と言われるホテル業の王道の真逆の発想で立ち向かうしかありません。
昨今、増え続けるインバウンドを中心にした観光客の増加など追い風に乗る傾向にある宿泊事業者は「いかにインバウンドを取り込むか」つまり、
来街者をどうやって連れてくるかに腐心し、営業や露出を強化し、内外装を整備したり、綺麗にしたり機能を充実したりすることに躍起です。
もしそれが王道だとするのであれば私たちはその真逆・・・外の獲物?(お客さん)にばかり目を向けるのでなく、自分たちの目の前の(隠れた?)
素敵で魅力的な資源を掘り起こす、それを引っ張り出してくる、それを発信していく・・・つまり内側に目を向けて「お宝発見」を基本にする
すなわち「追いかける(追い込む)」のでなく「引き寄せる(引き込む)」です。
地域に隠れ?散在?する「お宝」こそ、その地域ならではの「貴重な資源、財産」、しかもそれはその地域の作り手、担い手によって築かれているものですから、
それこそ「地域人としての誇りの賜物」です。
そうなるとその賜物を発信しようとする場=ショーケース(ルーム)=ホテルは当然、地域人にとっても誇りある場所になるのです。
古今東西、旅などで訪れる来街者にとっての一番の魅力は「その地域特有のそれ・・・」です。
ここをつなげることで「(来街者の)泊まる理由をつくる」加えて「(そもそも泊まる必要のない地域人)の来たくなる理由をつくる」ことが出来ます。
これがセトレです!
さて、今回新たな業態「POTEL」をつくります。
これは「ホテル名」でありながら「(新たな)業態」にしていけないかという取り組みでもあります。
ホテルや旅館、ホテルの中でもビジネス、リゾート、観光・・・などがアタマについて業態として認知されています。
最近ではホステル、ゲストハウスなどという業態の認知力が高まっています。
そんな中で「POTEL」を業態にまで育てたいという想いがあります。
その源流は「SETRE」です。
POTELの意味は「PORT」と「HOTEL」を組み合わせた造語です。
「PORT」の意味は「港」・・・その意味は貿易の拠点、また人と人が行き交う「結節点」という意味があります
来街者と地域を結ぶ、紡ぐ、つなぐ拠点・・・その接点から様々な出会いや発見や新しい価値が生み出されたり、それが人々の明日への活力を生む(かもしれない)・・・
そんな「甲斐」のある場面や場所にしていく。
そして「ぽ~(PO)とする」
泊まる理由の無い人に泊まってもらうためには、単なる「寝床」ではいけません。
生理的、物理的機能を充たすだけの場所ではなく、「過ごしの価値がある場所」
心や体が豊かになる機会を提供できる場面をつくる・・・そんないわば「スタイル!」を提案する。
「PO」にはそんな2つの意味を込めています。
まさに「SETRE」(心と体をRESETする)という意味と類義する造語です。
全てそこを元にしてホテルの企画、開発が行われてきました。
これから始まるセトレの汎用型の新しいブランド「POTEL」をさらに磨いていく1年になるかと思います。
これまで皆さんの自力や地力で積み上げてきた「SETRE」という業態のノウハウを、JRという大手資本企業から与えられた資産や資源に企画力で活かす、
そして私たちはその素材、題材を糧にして、より企画力を磨くことで成長を促していきたいと思っています。