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マンスリーレポート

2013年11月

「真のコミュニティホテルへ」

2013年11月1日、セトレマリーナびわ湖が開業しました!

「船出の儀」と称したセレモニーが行われましたが、まさにびわ湖に面した音楽堂から建物ごと船出に出るかのような緊張感の中、これまで本プロジェクトにお力添えいただいた関係者が集まり黄檗賣茶流家元の中澤様による御点前を披露いただきました!

大変有意義な機会を過ごしました!

私たちはこれまで、「コミュニティ型ホテル」ということを新たなビジネスモデルとして世に発していくことをひとつの基軸目標にしてきました!

とはいえ、コミュニティホテルというあり方は決してこれまでにない新しい業態ではありません

しかし一方で、「コミュニティホテルの概念」というものも、いまだ不明瞭でもあります!

なんとなく「地域密着型ホテル」それはいわゆる、都市部でない、都市近郊にある居住地域に存在しているホテル、だけど、宿泊施設だけでなく、飲食施設や宴会、集会場など兼ね備えた総合ホテル(いわゆるグランドホテル?)、そして経営主体が、地元行政もしくは地元名士によってなされている・・・その趣旨は「地域の人たちにとってのランドマーク、利便性、おらが町!!的愛着感・・・」といった大義で造られた・・・っていうものがほとんどでした!

またその受益者である地域の人たち(対象顧客)も、これらホテルを利用する理由は、「便利だから」「近いから」といったまさに「地の利」に偏った利用がほとんどです

私たちホロニックも「コミュニティホテル」という業態を展開もしくは再生事業として着手していく際には、メインターゲットは「地元の人」ということで、「地元の人」に対するサービスをきちんとやっていることが自分達のアイデンティティなのだと思って運営してまいりました!

 

しかし、それでは「違う!」

と思うようになりました!

 

もっと言うと、それは私たちのやってきたことが「違う」ということだけではなく、(世の中の)求められるニーズも「違ってきている」という風にも同時に感じるようになりました!

 

それは「コミュニティの概念そのものの変化」です!

 

そのエリアの生活者、従事者にとって、もはや「便利だから」「近いから」であるだけで便益をもたらし、価値を供給出来ているのは「コンビニエンスストア」だけではないしょうか?

コンビニには、生活必需品が置かれています、そう!「今必要なモノ」が陳列されています!

 

私たちホテルはどうでしょうか?

 

モノはありません、そこには空気、空間しかありません!

「今必要なモノ」ではありません!(住む家などの空間がないひとにとっては必需場所かもしれませんが、有事の際でなければよほどの人でなければ、今この日本で暮らす、または住む場所がないひとは居りません)

また、かつては確かにこの「地縁」=「ご近所つきあい」「近隣同士」というのは大変便利、かつ必要な“つながりのあり方”でした!

しかし、この10数年の間、インターネットなどの登場によって、「つながりのあり方」が激変しました、そして多様化しました!

つまり「地縁」に頼らなくても情報は入る、日常づきあいも出来る、つまり「地域コミュニティ」ということの重要性、必要性が希薄化している、またむしろいわゆる「べたっとした地縁のつながり」が嫌煙されるようにすらなってきている様相です!

そんな中でも、それでも「つながりづくり」に対する要望は留まっているわけではありません!

それはFBやツイッターなどのSNS機能の進化を見ているだけでも明白な訳です!

いわゆるここに「価値観などでつながるコミュニティ」が台頭してきているということです!

この進化は、これからの時代、発展することはあっても後退することはないと思っています!

 

さて、私たちが目指す「コミュニティ型ホテルのあり方」ですが・・・・

 

私が思うには今回のびわ湖セトレプロジェクトでより明確になってきたと思っております!

私が、今今の段階で思う理想的なコミュニティ型ホテルのありかたを追及できているのでないかと思っています、、

 

それは何か(どこか)というと・・・

 

まずは、前提に私たちは営利企業であるという立場に立たねばいけないと思っています!

 

つまり「利益を出す」「儲ける」ことが土台になければいけないと思っています!

私たちはボランティアやNPOではありません!経済的に成立するモデルを目指しています!

「おカネを頂ける商品やサービス」を編み出すことで付加価値を高め、より多くの顧客を創造していくことが絶対的使命です!それが前提です

 

その上で・・・・

「共感」と「参画」を生み出す商品やサービスを生み出すホテルを目指していくことが私たちのいう「コミュニティ型ホテル」の大きなキーワードなのだと思いました!

 

今回開業した、セトレマリーナびわ湖では、いわゆる「地域」という「地縁」をとっても大事にしています!

しかしおカネを出していただけるお客様だけを対象にして「その地域=コミュニティ」を指すということではありません!

その地域で営まれ、育まれている様々な資源が、その地域の繁栄や維持の原動力になっています!

セトレマリーナびわ湖の周辺地域で言えば、その大きな原資のシンボルが「びわ湖」です!

そしてこのびわ湖という地域資源の恵みによって歴史を重ねられているのだと思います!

その地域でしか取れない食の材料、素材、また食だけでなく、その地にある土、木、水などといった材料、素材、またモノだけなくヒトだって資源です、そこに居る商売人、生産者さん、職人さん、アーティスト・・・そんな関わりを大事にしていく、

これもコミュニティづくりにとって大事な概念です!

その地域資源が経済成長などによって・・つまりある意味「(物質的に)便利で豊かな社会づくり」に偏重する余りによって・・・・崩壊していっているものが多いことが社会的課題になっているのは自明のことです!

原発の問題にしてもしかり、農業、林業といった第一次産業の衰退もしかり、今回大きな問題になっている食品偽装問題であっても、そのことと無関係ではないと思います!

私たちは地元のお客様をコミュニティづくりの対象にするだけでなく、その地元でどのような営みが行われているかを、広く発信していく、そしてそれを商いにつなげていくこともコミュニティホテルとしての使命なのではないかと思ったわけです!

今回の、大事な開業セレモニーには、私たちのお客様や親しい関係者をお呼びして、華々しくお披露目会をするという趣旨ではありませんでした、むしろ全く逆でした!

今回のプロジェクトに参画していただいた、建築家(芦澤先生)、施工者(戸田建設)、左官職人(小林さん)、館内アート(太田先生)、また家具製作会社(ワイスワイス社)、そして食材などを提供して下さっている畜産(木下牧場さん 朽木さん 古株さん)、JAさん、レイクスファームさん・・・もう数々の生産者様など、一般的におカネを支払う人という立場からすると「業者さん」といったような方々かもしれませんが、そのような方々に「お披露目」でなく「決起会」のようなまさに「共に繁栄しようとする同志」が集ったような場でありました!

まさにこれから私たちは皆でスクラムを組んで、自分達のつくっているもの、出しているもの、発信しているものを(おカネを払ってくださる)お客様に共感を生んでいくような活動をしていくということです!

 

木下牧場の新保様社長には、「これまでホテルと取引したことありません!しかしここの吉村シェフは熱心に、一日牧場で牛と向き合っていた、とってもある意味迷惑な人でした・・・けどそんな人にうちの牛を扱ってほしい、そしてそんなことしてくれるホテルなら卸したいし、自分も客としていきたし、仲間も連れて行きたい!そんな施設初めてです!」と言ってくださいました

 

館内アートの太田先生には「おそらくホテルの開業にあたって最も華々しい機会に、お客様を招くの通常です、しかしセトレマリーナでは、最も大事な日に、自分達のような普段裏方になるような人たちを一堂集まられてこんな機会をつくった、そんな勇気に感動しました!」と言ってくださいました!

 

本当に嬉しいお言葉の数々でした!

 

そしてそんな、セトレマリーナびわ湖を取り巻くそれぞれの生産者、職人、アーティストがそれぞれ共感の輪を広げ、そして絆を深める機会がそこに展開されていました!

私たちの役割は実は、このような皆様の想いを、(おカネをお支払いただく)お客様に伝える使命を持った、いわゆる「触媒」機能を持つインフラ(施設)という役目なのではないかと思いました!

セトレマリーナびわ湖は「デザイナーズホテル」でも景色の綺麗な「リゾートホテル」でもありません

デザインは施されています、リゾート性のあるホテルでもあります!

 

しかし、軸は「真のコミュニティ型ホテル」なのです

 

建物の存在そのものが職人の魂の籠った、またそれが表現されたハードです、そしてびわ湖という自然と共生していくための、社会的課題に言及したコンセプトを持っています!

私はこれからの・・・本プロジェクトを通じてホテルという枠組みを超えたホテルとして今回の取組が真の「コミュニティ型ホテル」という理想に近づいているのではないかと思っています!

 

そこに「共感×参画」がハードにおいてもソフトにおいても組み込まれています!

お客様に共感を持ってもらうことで「共感縁」というつながりをつくります

参画意識を持っていただくことで共感の輪を広げますし、それによってつながった人同士の絆が深められます!

それは「地縁」を超えた関係性です!

もちろん、そこには「べたっとした」つまり「義理的、お付き合い的」つながりは必要ありませんし、そんな概念を持つ必要もありません!

また私たちの背後に居る皆さんが、共感を持って集まってくださっています!そして参画していただいています!

セトレマリーナびわ湖というのは「ホテルというハコモノを運営していく」を超えて「共感プロジェクトという活動をしていく」に他ならないのではないかと思います!

私たちの目指すコミュニティ型ホテルの骨格が、私自身見えてきたと実感しています!