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マンスリーレポート

2012年05月

「差別化行動」から社会を創る

 

ブランドづくり、または競合他社などを意識した戦略を考える上で出てくるやり方として「差別化商品」という言葉をよく使います
文字通り「差別化された商品」・・ですが、差別化されているからこそ他社との競争に勝てる可能性が高まるということです。
私達のビジネスはいわゆる「ハコモノ」、
メーカーといえば工場があって、そこで製品がつくられ、商品となって、出荷され消費者へ流通するように、いわば「モノ」が商品でありそれが消費者によって消費される、
それは、パンやビールもそうであるし、車でも電化製品でも化粧品でも同様です。
つまり、「工場が商品」ではありません。
しかし私達のようなサービス業においてはメーカでいう工場にあたるであろう、「ホテル」という物体そのものが商品です。
消費財のように流通しません、いわば動かない産物、そういった意味で「不動産業」といえるでしょう
ですから、私達にとっての商品は「ハコ」ということになります
なので、私達にとっての「差別化商品」とは、この「ハコ」をどうつくるか、どう企画、どんな建物、またそれに付随する内装デザイン、インテリア、ロケーションなど活かす建て付け・・・にするかということになります
それは、日々現場でお客様と接している仕事をしている「現場人」の役割と少し違います。
お客様と接している現場の仕事は、サービスの品質をどう高めるか、それによってお客様の満足度を高めること、さらにそれによって、また足を運んで戻ってきてくださってサービスの対価をたくさん支払っていただくこと・・・ここに邁進しているのです。
ここで重要なことは「差別化行動」です
いかに他社で出来ないサービスやおもてなし、振る舞いが出来るか、またいかに社内の中でも他者の出来ない、つまり“自分の持ち味を出した特徴的な、かつお客さんに支持される”サービス、おもてなし、立ち居振る舞いが出来るか・・・・ここにかかっているのです。
しかも、消費財のような製造物であれば、一応の完成形があって商品として定価がついて販売されますが、サービスの場合、その完成形が多岐に及ぶ上に無限大ともいえるので際限がありません。
私達に求められるのはまさに「差別化行動」です
年度最初の全体会議でお伝えしました「バリュープロポジション」という概念
「自分たちが出来て」「他者で出来なくて」「お客さんが満足する」こと
これは個人であっても法人(会社全体)であっても追求していかなければいけないポジションなのだと思います。
その肝こそが「差別化行動」といえるのだと思います。
さて、先日コーポラティブハウスを企画している会社、キューブの天宅社長とお会いして色々お話を伺い
ました
コーポラハウスとは、大きくひと言でいえば分譲マンションなのです。
しかし従来の分譲マンションは三井不動産や野村不動産といったデベロッパー会社が企画したマンションを分譲して売るものです。
なので、間取りから広さまで決まっています、つまりマンションを購入しようとしている人は「決まったものを買う」わけです。
そこに、基本疑問を感じることはありません。
“決まったもの”が気に入れば買う、そして“決まったものが気に入らなかったら”買わない、そして場合によっては、価格、場所によってその購買意欲が変化したりする。
一方、コーポラハウスは、家(マンション)を買いたいと思っている人が集まって、それぞれのニーズに合わせて部屋を一からつくる。
なので「決まったものを買う」のでなく「買うモノを決めて、そして買う」
いわば「参画型で住まいを決める」ということです
素敵なイメージがある一方、結構大変で面倒です、しかも他の住人との共存をはからなければいけません。(他の住人も同じように、参画しているわけですから、一定の協調が必要になります)
従って、表面的なデザイン趣向だけではNGです、
“そんなんあったら住みたい!”という「本質的な暮らし方」に強い関心と興味を持つ、極端なことをいえば「家を買うとうこと」は、一生に一度ともいえる大きな買い物をする「人生を根本的に考える」局面でもあります
そのキューブという会社では、そんな人たちの媒介に入ってコーディネートし、そして企画、設計していく役割をしています。
私達のホテルで目指している「つなぎ役」、つまり「コミュニティをつくる」役割をしています。
この「つなぎ役」の役目には、強いコーディネート力が求められることは、お話を聞いていても明白でした。
なぜなら10人居れば10人の趣向があります、だからこそ、そこでそれぞれ自分達の「夢の家」を叶わそうとすると大変なことです。
10人が議論していくと、何が正しいか否かで、コトが決定していくのでなく「声がでかいかどうか」「根気があるかどうか」、つまり「声がでかい人」と「根気のある人」の意向に引っ張られるそうです。
無茶苦茶コーデイネートって大変かと思いきや、しかしそこの問題・・・というか解消すべきポイントは単純だそうです
「ルールを決めておく」
それで大よそ大きな問題は生じないようです
いうなれば「審判」「レフリー」が居ないから話がこじれるわけで、きちんとルールのある土俵で行司を行えば、ほぼほぼ大丈夫だそうです
よく間違えてしまうのはコーポラハウスは専門性が必要なので「専門家」をコーディネーターにしたりするそうですが、それがいけないそうです
コーデイネーターは審判であればよいそうです。
専門知識の押し付けや、「正当なあり方」を唱えても購入者には響かないそうです。
大事なことは、協調、というか「相互理解」の精神でしょうか・・・
この話し、私達の「コミュニティづくり」にも相通じるような考え方だと思いました。
従来のマンション業者は、私達でもお馴染みのように、週末の新聞にたくさん挟まれている「マンションの折込広告」・・・まさに「ばら撒き」です
「どうだ!うちのマンションは!」というかの如くばら撒いて引っかかるのを待つやり方です
非常に非合理的ではありますが、しかしこれまでは(今でも?)この率は悪くても確実に取り込める・・・というやり方です。
しかしコーポラハウスは、まず「皆さんの暮らしどうですか?」との問いかけ、そして共感へつなげていくやり方です
まだまだ世の中的には浸透していないかもしれませんが、私はこの考え方にとても共鳴しています
これもある意味「差別化商品」なのかもしれませんが、根本にあるのは「差別化行動」、いうなれば、「過ごし方」や「暮らし方」をどうイメージさせるかが出発点です。
私達はコミュニティ創造企業を目指しています
ホテル、レストラン、旅館、ブライダル、料亭などなど施設(商品=ハコ)はしこたま世の中に存在しています
それら「商品=ハコ」をどう稼動させるか、どう再生するか、・・・その目的のために企画があったり、それこそコミュニティを手段にしたりしている・・・のではありません、むしろ真逆です!
コミュニティをつくることで、現代社会、また将来の社会における様々な課題、問題を解決していくことが出来る。
ホテルなどのハコモノは舞台装置、すなわち手段に過ぎない(とても重要な手段であることには間違いはありませんが・・・)
“祭りの多い地域には自殺者が少ない”そうですが、コミュニィが強固な地域ではそのような、人が不幸になることへの抑止力になっているともいえるかもしれません
しかしかといって昔のようなベタっとしたコミュニティが希薄になってきています
豊かさの裏返しかもしれません・・・おひとりさまも増えているのも同様です(誰でもひとりでとりあえず生活できちゃうような社会です)
しかし、ソーシャルメディアなどを通じて、人とのつながりを求めている勢いはとどまることを知りません
そんな社会の中で私達の役割な何なのでしょうか?
先月、学生さんの採用面接をしました
そこで言われました
「長田社長の将来の夢は?」と「ホロ社はこれからどうなっていくのでしょう?」
改めて彼らから私の頭やお腹にあった答えを引き出してもらいました
「コミュニティ業といわれる生業(なりわい)が普通に存在するような社会にすること」
それをするためにホテルもありであれば、レストラン、式場、料亭も旅館も、シェアハウスもシェアオフィスも、はたまた学校も高齢者住宅も、それこそコーポラハウスもありなのではないかと・・・
目的の目的が見えてきたような心地でした!
これら全て、根源には「コミュニティ」、すなわち「つながりの必要性が前提」にあるものばかりです。
それらひとつずつこれまでの既成概念で“業態”というものにフォーカスすると、やっていることはバラバラかもしれません、
ホテル屋さんにシェアハウス運営のイメージがつかないのと同じように、教育概念で学校を経営している人に旅館的なおもてなしの概念などありません。
人の暮らしや過ごしをテーマに仕事をしている人が、当日の施行に一喜一憂するイベント業的なブライダルの仕事が馴染むわけもありません、その逆もしかり・・・
しかし共通していることがふたつ
ひとつは、ハコモノという舞台装置があるということ、つまり実物の「場」があるということ。
そしてもうひとつは「つながりを持つ、創ることが、つまり“関係性を築くこと”とは無関係でいられないことが、すこぶる大切だということ」
今は、まだ「コミュニティ業」といわれても、「何ですかそれ?NPOかボランティかなんかですか?」といわれるのがオチです。
誤解を恐れずいうと、コミュニティビジネスを展開しているNPOもボランティアも、それはそれぞれ大変意義ある活動ではあると思いますが、それを生業にしていっている組織があっても、まだまだ社会の中で認知されているかというと・・・・“そんな社会になっているとはいえない”と思います。
かつて郵便局が公益事業としてやっていたことをクロネコヤマトがやって、今や「宅配業」と言われ、警察がやっていたことをセコムがやって「警備事業」と言われるようになりました
当時はおそらく「なにそれ?」といわれたに違いありません!
私たちはコミュニティという概念を、事業に変えていき、そしてその存在が普通になるような社会をつくること。
これがまさしくホロニックの「ミッション=使命」として進んでいきたい!
・・・・とたくましく宣言したいと思います!