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マンスリーレポート

2011年01月

「再ベンチャー化」

 

ホロ社は丁度創業12年が経ちました
今年1月から13年目
人間で言うと小学校から中学校に進学する年恰好です
私の時代は(今もそうなのだと思いますが)、小学生から中学生に上がるとガラッと環境は変わります
まずおおよそ私服が制服になります
それまで先生が「君、さん」で呼んでいた名前が呼び捨てになっていきます
科目別に教える教員が変わる
などなどいまだに覚えていることだけでもたくさんあります
「進学」とはまさに文字通り「学ぶことが進む」訳ですから自ずとこれまでと違う環境に向かう構えが不可欠です
ホロ社もこの12年思い返すと様々なことがありましたが、ひとまず土俵に立っていることが出来ました
起業した会社の9割が10年後にはなくなっていると言われています
言い換えると10年で、10社あればたった1社しか起業した会社は残っていないわけですからホロ社も紆余曲折ありながらも頑張っているといえるのかもしれません
しかしその代償として「ベンチャースピリッツの希薄化」すなわちチャレンジ精神がなくなってくるという現実もあります。
起業したのに潰れる、または亡くなっていくという現象の原因は、私から言わすと「外部環境」のせいではありません
外部環境の変化をきちんと捉えた経営者、その経営者の変化への対応力が要因なのだと・・・
しかしもっと大事なことは
経営者の「志の強さ」なのではないでしょうか
おそらく起業をするためにはそれなりにリスクを負う覚悟で事業なりを立ち上げるのでしょうけど、しかしそれに賭ける想い、信念の強さや深さがないと途中挫折してしまいます
その志の強さと、それを貫くための行動力、これが「ベンチャースピリッツ」なのだと思います
「創業時は人数が少ないから、果敢な挑戦心やそれを共有する仲間が居たが、人数が増えると事情が変わってくる・・・」
これも企業が衰退していくときに出される経営者の言い訳である!・・・ということを今年の私自身の肝に銘じることにいたしました
「再ベンチャー化」
今年、そもそもベンチャー企業ではじまったこの会社を、今一度チャレンジ精神溢れる人々の組織に変えていきたいと思っています
現状維持が出来れば御の字などという志向ではこの混沌とした時代で生き残っていくことは
益々困難になるでしょう
今までやったことない、考えたことのないことを新たにやっていく
それまでやったことも考えたこともないことに向かっていくわけですから「怖い」。
また今までの自分、これまでの経験を否定したり、これまで蓄積してきたものなどを「捨てる覚悟」も必要なわけですから「怖い」のは当然です
しかも新しいことをやって「失敗したら・・」と考えるともっと「怖い」です
しかしよく考えると「やったことのないことを試しにでもやってみると必ず失敗する」ものです
しかしその失敗体験をすることに怖気づいていても現状からは変わらないわけですから、それを覚悟で挑戦することを始めたいと思います
今までも思えばたくさん失敗してきました
勝敗率でいうと「1勝9敗」くらいかもしれません
しかし9回まけても、その9回の負けをカバーするだけの1勝を勝ち取ればよいわけですし、それだけの1勝をするためには9回もの失敗・・・ではなく「実験」がなくては成し遂げることは出来ないのだと思います
発明家、エジソンの言葉ではありませんが、「私は失敗したことなどない、実験を繰り返しているにすぎない」
これが本来私たちのような起業会社に必要な「ベンチャースピリッツ」なのではないでしょうか?
さて、今年改めて何にチャレンジしていくかということの話しです
「コミュニティの創出をすることで人々の生活を豊かにする社会を!」(目的)
「コミュニティの創出をすることで施設(ホテル等)を活性化する!」(手段)
昨年来「ホテル企業」から「ホテルを通じたコミュニティ創造企業」を目指すことを公言するようになりました
これは実は創業の頃からの理念でもありました
私たちお客様との対面接客をするサービス業においてお客様との関係性をつくっていくことはとても大事なことであります
またそれは現場で働く人たちにとって充分理解されていることでもあります
そもそも「お客さんを喜ばしたいと思っている人」でなければこの仕事を求めることはないでしょうし、もっといえば資格もないと思いますから・・・
しかしながらこれまでの対面接客商売は「TO」・・・「私たち TO お客様」
私たちからお客様へ何かを提供する、サービスや商品、笑顔やホスピタリティを与えるのが仕事
「与える=TO」です
もう少し踏み込んだ場合は「FOR」です
お客様のために「尽くす」 お客様のために何かを施す、お客様のために・・・
しかしこれも「私たち対お客様」の関係です
当然お客様からサービスの御代を頂くわけですからお客様に何か付加価値を提供する、与える、
尽くすことは当然の役目です
その役割や責任を遂行していくことに疑いの余地はありません
しかしあえて私はこれからの私たちの企業、また私たちの業界が目指すことで進化させなくてはいけないことは
「WITH」
お客様と共に、お客様と一緒に・・・つながり、絆、共感・・です
これだけ情報化社会が進みました、そしてこれから先もドンドン進むでしょう
皆さんご存知の会社にソフトバンクという会社があります。
パソコンのレンタル会社から始まり、ソフト会社、やがて携帯電話、YAHOOなどのネット企業を傘下にして、野球の球団まで経営する総合的なIT企業です
その社長、孫正義氏は「情報革命で人々を幸せにしたい」というビジョンでこれからの30年を語っています
それだけ情報の進化は間違いなく進むでしょう
そんな中で私たちがお客様に提供するサービス、商品、情報などが「TO」や「FOR」の次元だけでは到底対応しきれなくなってくるのではないでしょうか
「TO」や「FOR」だけの仕事を続けていると私たちのホテルやレストランといった施設は単なる「ハコモノ」、「お客様の利用に都合のよい場」にしかなりません
都合のよい場にしか過ぎなければ、都合が悪くなったり、その場に(お客さんにとって)価値を見出せなくなったらお客さんは離れていきます
それでは私たちの仕事は「場所貸し屋」の域を超えません
これから「場所貸し屋」では生き残ることは出来ません
うちを利用してもらっている理由が
「近いから」「便利だから」「安いから」「キレイだから」「景色がいいから」ではダメ
もっと言えば
「あのスタッフがいいから」「料理がうまいから」「サービスがいいから」だけでもダメ
“どうしてもそこでなければいけない理由”を見出さなければいけません
「あそこに行けばこんな触れ合いがある」「あそこでの過ごしは他では決して味わえない」
「こんな出会いがある」「自分と合う世界観がある」「同じ価値意識のある人が集まっている」
そのような・・「単なる場」が理由ではない、「世界観に訴える場」であることがとても大事なことです!
それがつながり、絆、共感といった意識でつながる・・・それがコミュニティ
コミュニティという意味には「地域共同体」という意味のほかに「意識目的共同体」という意味があると私は理解しています
前者は「地縁」、いわゆる環境資源を共有する、つまりその地に縁のある人同士のつながりとしてのコミュニティ、物理的“近さ”の距離が主体
後者は「好縁」、いわゆる情報資源を共有する、つまり趣味志向、目的価値感を共有するコミュ
ニティ
「物理的近さ」に対して「意識の距離」が主体
これらそれぞれ、もしくは融合したコミュニティをつくっていくことが主体になるビジネス
それが「WITH」です
ホテルや施設というハコモノは、その「WITH」をポコポコ創っていくための舞台装置に過ぎないという発想です
これまで私たちにとって目的化されていた「ホテル運営会社」という位置づけはこれから“手段”に変わります
そしてこれまで手段にされていた「コミュニティ創り」を目的に変えていく
「ヒト=手段・ハコ=目的」から「ヒト=目的・ハコ=手段」を鮮明にしていきます
ヒトは言うなれば、「コミュニティ」と言い換えてもよいでしょう
「コミュニティ創り=ヒトのつながり」を私たちが主体に行うことを大目的にしていきたい
「TO DO」より「TO BE」
“何をするか”より“どうあるべきか”
少し現場的言葉に言い換えると
「商品やサービスをどう売るか」ではなく「どんなお客様とどんな関係でいたいのか」
これからの社会、特に日本のような物資的に豊かになった国で、今枯渇しているもの、希薄化されているものはまさに「コミュニティ」です
それをどう解決していくかがこれからの社会そして人々を豊かにしていくが大きな社会的テーマでもあると思っています
最後に少し具体的に・・・・
西梅田・・・ハービス6Fになくなっても来てくれるお客さんは誰?
舞子 ・・・景色がきれいでなくても来てくれる人たちはどれだけ居る?
姫路 ・・・料理のおいしさだけでなく来てくれる人はどれだけ居る?
・・・必ずしも泊まる必要のない人が来てくれる理由は何?
天保山・・・USJに来る人でない人に来てもらうには?
加古川・・・近いから、便利だからだけでない理由で来て貰うには?
こんな問いかけにリスクを抱えているのがこれまでのわが社です
どこのホテル会社でも同様かもしれません
コミュニティづくりを真の目的としたホテル会社などありません
そこをブレイクスルー(突破)するために私たちは頑張りたい
まさにそこがベンチャースピリッツが必要です
まさに「再ベンチャー化でコミュニティの発掘・創造・量産体制」をつき進めたい
そんな一年を皆さんと共に(WITH)していきたいと思っています
今年も宜しくお願いいたします!