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「動きながら考え抜く!ところから・・・」

神奈川県にある「よみうりランド」の中に、モノづくり体験型エリア「グッジョバ」という」施設があります(GOODJOB ATTRACTIONの略だそうです)

https://www.yomiuriland.com/gj/

遊びながら各社各種製品の製造工程が学べる・・・どこか、キッザニアに似た業態ですが、こちらは「モノづくり」という仕事(業種)に特化しているようです

遊園地でモノづくりを学ぶ・・・「遊びと学びの合体」という一見奇策に見える作戦?も「面白さの本質は一緒」と直感した当時の社長が推進したそうです。

直感のきっかけは、赤字を大幅に垂れ流していた園の「アシカショー」をどうするか・・・という課題に考え腐心しているところからだそうです。

腐心しながら勘付いたことは、数字的には大赤字でも園で一番奮闘しているのは、むしろ、ショーに加え昼夜アシカの世話や訓練していた飼育員だったそうで、だったら、その飼育員の働きぶりを見てもらうのがいいのではないか・・・ということだったそうです。

考えてみると会社の工場見学や取材などに行くと外部者立入禁止区域(STAFF ONLY的な・・・)まで入り込むので、それ自体がワクワクした・・・現場の面白さ、ないしは奥深さ(ないしは浅はかさ💦)はそこでよく見えたりするものです。

(ちなみに、この社長は読売新聞出身の記者だったのでモノづくりの光景を客観的に目の当たりにしていたそうです)

「モノづくりの現場で、つくり手に共感し、つくり手の視点に立って、つくり手の文脈に入りこむことでモノづくりの面白さの本質は「人間の知恵が詰まっている」ことにあると直感した」

この話で言えば、人材(飼育員)は、赤字のサービス商品(アシカショー)を生み出してしまう、いわばコストだったわけですから、普通考えることは、“リストラ!”でしょう

しかし、同氏は、その人材を「再生の担い手」と位置づけ、それを有効なサービス商品にして価値に転換させたという話です!

この話、とても興味深い!

同じ現実と向き合っても、本質を直感できる人とできない人の違いは何でしょうか?

「共感経営」(野中郁次郎著)の中でこんな風に書かれています

「主体(自分)と客体を分離して客体を外から傍観者的な対象で観察するのが「リアリティ」

現実を現場で現物に触れてモノゴトを客体の視点に立って、客体になりきり、でも主客の境地で「いま、ここ」の文脈に入り込み深くコミットメントしていくのが「アクチュアリー」

前者(リアリティ)は客観的現実、つまり「モノ的現実」

後者(アクチュアリー)は主観的現実、つまり「コト的現実」

「モノからコトへ」みたいなことが、昨今、事業に携わる場面でよく聞かれます

ホロニックのようなサービス業、ホテル業でも「モノでなくコト」ということ言われますし、私もよく口にしています

これニュートンの万有引力の法則の逸話を例えにすると、なるほどなあ・・・と思いました。

「木から落ちるリンゴ」

これは見ている「わたし」の主観は何もない客観的事実

ですが・・・「リンゴが木から落ちる」

となると・・・「木から落ちるリンゴ」という客観とそれを見て「木から落ちる」現象を見ている(経験する)主観がある・・・つまりそこに「わたし」が介在する

客観という事実(だけ)と主観という経験(が加わる)・・・これが違う

経験は、人との関係性の中で成立するものです。

万有引力の法則は「モノの向こうにコトが見えて、モノがコトに変わった時に発見された」というわけです

つまり、人はモノに対して、単なるモノとしてでなく、コトとして捉えれば、共感、共鳴が生まれてくるということ

ちょっと小難しかったかもしれませんが、要は、上辺の事象だけ見て、事実、現実としてスルーするのでなく、“わたし=主観”を入れることで、見方も見栄え・・・もっと言えば価値観だって変えられるということです

ホロニックの「コミュニティ型ホテル」、「地域資源を企画する」といったコンセプトは、共感や共鳴を生み出していくとが大きな肝になっているものだと思っています。

そういった意味では私たちにとって「お客様の声」は勿論大事ですが、「声に出ている声」(事実)だとそれは「モノ」に過ぎないので、その背景にあるコトを聞き出す、思案する・・・そして、私たちが主体的にとらえる世界観的な価値観を共感、共鳴されるくらいの主体(主観)を発する。

そんなことを「動きながら考え抜く」ことが肝心だと思うわけです

上記でいう「学びと遊びの合体」というコンセプトや世界観は多分、最初から掲げられたものでなく、何年も現場で動きながら考え抜いたあかつきに出てきた言葉だと思います

普通、人は「考えてから動く」「動いてみてから考える」のだと思いますが、現場をアクチュアリーとして捉えていくには「動きながら考え抜く!」ここが要諦なのだと思います

この共感経営という著書では、「動きながら考え抜き、本質を直感する」ことを知的体育会系・・・と表現していました

現場での実践を重視し、直接経験を積み上げ、声にならない声(暗黙知)を蓄積していく能力と本質を直感し、経験を概念に転換していく、それを繰り返すことでイノベーションを生みだす組織になっていく

ホロニック、はそんな組織になっていきたいと思っています。