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マンスリーレポート

2013年06月

「目的の目的」

先日スタジオジブリを特集されたテレビ番組を見ておりましたら、
宮崎駿監督及び作品の特徴を
右腕プロデューサである鈴木敏夫氏が語っておりました!



「作品にシナリオがない」・・・、
従って結末は作品づくりの最初の段階で決まっていない、
絵を描きだしたところからすべて始まる・・・・
そんなことを言っておりました!



私のような凡人は勿論のこと、いくら才能ある人であっても、
ゴールが設定されているから・・・
つまりどこに向かっていくことが示されているから
それに向かって突き進めるし、
ましてや自分だけでなく他人をも巻き込むような、
いわゆる“組織”であれば尚更、
メンバー達をまとめていく必要があるのではないかと思うわけですが、
そういった常識を超越しているようなお話でした!



そのような類い稀な事例は、その事例として受け止めることはするものの、
めったにない話であります・・・・
なので、大概は「どこに向かっていくのか!!」
ということが、共にするメンバーと共感や共鳴、
また共有をしていけることで、モノゴトの成功に近づくのだと思います!


ホロ社は、14年前、ブライダル事業から始まりました!


なぜブライダルだったのかというと、、、、
私の前職(PDS社)でその事業に携わり、
婚礼会場を運営することに対して“経験をしていた”からです!


経験をしていれば、経験をしたことのない事業をやるよりも、
それについて自信がありますから、
あとはやるか、やらないかという自分自身の決断だけです!


私の場合、独立してブライダルの事業を始める(というか継承する)こと、
そのために独立することによるリスクなどを請け負ってやる覚悟はありました
(今思えば、そんな大した覚悟ではありません、自信があったのですから・・・・)


そしてもうひとつ、野望?夢?想い?考え?がありました!


それは2つ(のレベル)ありました


ひとつは「ブライダル事業だけで進むのはダメだ!なぜならこれから少子高齢化で確実に市場は広がらないから・・・」


しかしそれは形式的な誰もがわかる概況をとらえた認識レベルです


もう一方別のレベルでは
「人のライフスタイルに影響を及ぼす事業をしたい」という純粋な願望でした!



それを語るには少し自分の人生をさかのぼって振り返らなくてはいけません!


 

私は31歳で独立起業しました

それまでの私の約30年間ほどの人生の中で、
高校生くらいからか、何か自分が社会に影響を及ぼせるような人になりたいと
おぼろげながら思っていたような気がしていた頃から始まります!


父親が会社の経営者だったこともあるでしょうし、
自分自身のパーソナリティがいわゆる「普通の人」(いわゆるフツオ君です)、
普通な人という存在感にコンプレックスがありました(今もあります・・・)


私の友人や周囲の人には何か「特異なパーソナリティを持った人」が多いように思うわけですが、
それこそコンプレックスの現れだと勝手に思っているわけです


そんな「普通なオレ」でも何かしたい!
大学時代の頃からその「何か!」は
「起業」とか「独立」ということに志向が向かっていきました!


何か業を起こしたい!
そしてそのための“手段だ!”
と思って選んで入ったのが証券会社です。


証券マンになって、社会人になって思ったことが2つありました。


ひとつは、「新しい市場(産業)を創ることへの憧れ」


もうひとつは「人の生活環境(ライフスタイル)に影響を及ぼすビジネスをしたい!」


ということでした・・・・



前者は、自身の父親の影響もあるでしょうし、
大学時代から会社ごっこみたいなことをしていたこともあるでしょう、

それに加えて職場の現場からは新たなに株式上場していく、
それはつまりは新しいビジネスが世に生まれてくるシーンを垣間見たことが大きい、
また営業回りをしていて、いわゆる起業した社長さんなどから
話しを聞くのは本当に刺激的で楽しく、
株売るという本職を忘れるくらいでした!


「自分もそんなこと(新しい業を興し経営をしたい!」

それが益々強くなりました!


それは証券会社でなければそこまで思わなかったかもしれません!


いずれにしてもその環境によって感化され、志向が開化されたことは確かです!


一方後者は、その頃、自分の仕事の中の行為、行動を通じて感じたことでした


それは、“人のライフスタイル”というテーマ?でした!


当時、私が通う営業先の経営者の人たちには惹かれていましたが、
私の周りで仕事を共にする先輩、
上司といったサラリーマンの人たちは私にとってはあまり魅力を感じませんでした、


勿論すべての人ではありませんが、
優秀な大学を出て、アタマもいい、また金融というビジネスの最前線に居るのですから
将来楽しいだろうなあと思いきや、、、、
何か感じる魅力的な人物はそう多くはありませんでした!


何か組織の中で、自分の個性や持ち味が薄れていっているような人が多いと
若造ながら感じていました。


生活する上で1日24時間ある中で、働いている時間はその半分近くある・・・・
そんな中でライフワークが充実していない、
希望が持てないのはとってもよくないと思っていましたし、
自分にも言い聞かせていました!
それでも会社や職場など外へ矢印を向けることでその捌け口にしている人が多かったです!

(もちろんそうでない人も居ましたが、私を含めそんな人が私の周りには多かったのです)



そこで「もっと働きがい、やりがい、生きがい」などを持って生活する人が増えれば
職場や社会などの環境がよくなくなる!!、


翻って換言すると
「会社の環境を整えることで生きがいややりがい、働きがいなど持てるのではないか!」
などと大それたことを考えたわけです!


もちろんそれは職場という環境だけでなく、生活する環境においても同様に思ったわけです!


そして、人が自分自身のライフスタイルをしっかり持てたり、高めたりすることが出来たら、
社会もよくなる、もしかして経済生産性も上がり豊かな社会になるのではないか・・・
そんな社会づくりの担い手になりたい!
そんな気持ちがわき上がり、私は証券会社を辞め、前職のPDS社に移りました!



ところがそんな「環境づくり」をしていく願望やイメージはあっても、
それを仕事で食っていく術などあろうものもありません!


ある種、仕方なく・・PDS社で始めた「ブライダルプロデュース」という仕事を手伝っていました!


当時、ブライダルの仕事は、これまでの古い慣習の中で新しいスタイルを築いていこう!
という志で立ち上がった会社でしたからそういった意味で「新しい市場を創る」という意味ではフィットしていました!


また対面接客業で消費者の声や顔がダイレクトに伝わります、それは魅力的なビジネスでした!


私にとっての願望その1、
「新しい市場をつくる担い手になりたい」という方向は充たせるのかと思いました!

しかし、途中、またホロ社創業する頃は、
「新婚さんというお客さんだけが対象では人のライフスタイルに影響を及ぼす仕事という意味では不足なのでは・・・」
と私なりの解釈があり葛藤していました!


ブライダルという仕事はとても素敵で、素晴らしいビジネスですが、
もっとそこから広げられないだろうかと考えました!


結婚式という一過性のイベントをプロデュースすることに傾倒することに何か抵抗感があったりもしました!


だから創業した後、様々な事業に着手しました!



レストラン(=人の生活の延長で至極の時間を提供できる)、
公共施設の付帯飲食施設(公園や遊園地内にあるメシってなんであんなに不味いんだろう!)、
雑貨店(いい雑貨を手にすると生活感度が高まる!)
などなど見境いなく、でも人のライフスタイルに関係すること、
新しいビジネスモデルになるであろう的なことに手を付けていき、
結果的にうまくいくものはありませんでした!


いよいよ思い迷っている中でホテル事業との出逢い(巡りあわせ)がありました!


ホテルは世の中的には「都市型」「リゾート」「ビジネス」「観光」「レジャー」などいくつか多岐に及んでいますが
その中で、くすぶった?形態がいわゆる地域型の「コミュニティ」というジャンルでした


ジャンルっていっても、誰もがきちんと認識していませんし、
業界の人もその定義など語れない、
またそこで働いている人も自分達の職場がコミュニティホテルだなんて思っている人も居ないし、
そもそもその意味が不明確でした!


この意味や概念をとりはき違えたまま運営や経営されていました・・・それは今でもです・・・

そこに大いなるチャンスを感じました!



「コンセプトレス、だから儲かっていない、だけど地元のランドマークにはなっている」



この在り方にしっかり意味づけしていくことが出来たら、
この地域型コミュニティホテルというのは大いなる可能性を感じるのです!



加えてこのコミュニティという概念


私は簡単に言えば「つながりづくり」だと思っています!


つながりのあるホテル


つながりとは「ゲストとキャスト(スタッフ)」だけではありません


「ゲストとゲスト」をつなぐ私たちスタッフはつなげ役です!


「地域とゲスト」をつなぐことで地域活性化にもなります


またそんな空気感を醸し出していくのは「スタッフとスタッフ」の関係性だって大変重要です!


あらゆる関係性、つながりを創造していく環境をつくることで施設が潤う



サービス業というと、「〇 TO △」「〇 FOR △」
いわゆる「何か」を「誰か」のために提供する、または奉仕するという概念ですが、
私たちの目指すところは「〇 WITH △」それは「何かと、誰かと共に」という概念です!


思えば“友人に対してサービスする”ことはしません、友人とは“分かち合い”です。


英語で“シェア”です!

私たちはこの「“共に!”業」を目指すことで新しい産業、事業モデルを創り、育てていきたいと思っています!

ホテルという舞台装置によってつながり創りという目標を果たす、そんな場面をつくることを目的にしたホテル

もっと言えば、それは「ホテル」というカテゴリーを超えるかもしれません!

もっと言えばコミュニティという本来的な意味の「地縁的つながり」という概念も超えていきます!


最近の情報化社会の中で出てきている概念が
「テーマ縁」

それが希薄化した血縁、地縁の関係性を補完する新たなコミュニティのありかたに発展すると思っています!


結婚式だって「恋愛のゴール」でなく「家族の始まり」と考えれば、
私たちの仕事であるブライダルにおいては一過性のイベントではなくなり、
新たなライフスタイルの充実、また関係性の築きの一助になる役目を果たすことになります!


レストランでも「胃を満たす」または「食を楽しむ」という場だけでなく
生産者やシェフという作り手の想いとつながることが出来たら、
そこから価値観の共感や共鳴が生まれますし、
それによって同じような価値観、
ライフスタイルを持った人々がそこに集い
“生きがい”みたいなものが生まれるかもしれない


宿泊だって、そこに泊まるだけでなく、
過ごすという価値観を持ってもらえることで、
明日への活力ややりがいが生まれるかもしれない
 

ホロ社が掲げる「コミュニティ創造企業」という言葉は
私がいうのもなんですが、大変難しい概念です!


これまでのベンチマーク先がないのですから当然かもしれません!


でも、かつて宅急便であっても、出だしの頃はそんな言葉すら存在も認知もされていなかったはずです!


コンビニだって同様です!



今月日経新聞の私の履歴書ではテンプスタッフの創業者篠原欣子氏が執筆していますが、
今では人材派遣なんていうのは一般的になりました、
英語で「テンポラリースタッフ」ですが、当時営業したときには
「え!天ぷらスタッフって何や?」って言われたりしていたそうです!
 


そういった意味で私はこの「コミュニティ創造」
という概念をしっかり定義できる企業をつくりたいです!


そして、それはやがて「コミュニティ業という概念、認識が一般的になる社会」をつくりたいです!

だからこそ「新しい産業(市場)」になりえると思っています!



そう考えると今やっているホテル、ブライダル、レストランなどなどは「コミュニティ創造企業」の手段に過ぎません!

そして、そして、もっというならばホテルという業態がコミュニティを築いていく手段でありますが、
コミュニティづくりも、また“手段”です!


ホテル業という手段を通じたコミュニティづくりという目的

そしてさらに「目的の目的」ですが、それがまさしく「人の生きがい、やりがい、働きがいの創出」です!



今の日本をはじめとした多くの国では、物質的な充足を満たしながらも、様々な社会問題が増大しています!

自殺、ひきこもり、いじめ、過労死、孤独死、ひとり暮らし老人の増加・・・かつてにないほどの問題を抱えています!

その原因の根源には必ずこの「生きがいをなくし、やりがいが伏せ、働きがいの欠如」があると思うのです!


それをなくしたい!


そんな風に思うのです!


そして、本来人が持つべき「生きがい、やりがい。働きがい」
を見出すために必要な、または有効な手段が「相互扶助」的関係性=コミュニティだと思うのです!


人は文字通り、支えあっていきていく動物です!


どんな時代でも一人では生きていけません!


しかしそれが決して「相互依存」(パラサイト)であってはいけません!



自分自身のアイディティテイや理念を高めていくための相互扶助的感性を人々の多くが持つこと出来れば、
日本の社会はもっともっと豊かな、精神的に豊かな、そして精神的豊かさは国の力にもつながっていくものだと思います!


いきいきとした社会をつくる手段として「コミュニティづくり」というテーマを掲げました

コミュニティにも血縁、地縁、目的縁といった意味合いがあります、



共通項は「縁づくり」です、

つながりです!



そのような「つながりづくり」をしていく手段=業態として私たちは今、
ホテル事業、ブライダル事業、レストラン事業を営んでいるのです!


これから「手段=業態」は広がっていくかもしれません!

しかし「的」は変わりません!

社会を変える仕事をしたいと思っています!

そんな社会の担い手になるためにホロ社は頑張りたいと思います!