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マンスリーレポート

2008年06月

「コミュニティとブランド」

 

ホロ社のテーマは「コミュニティ型ホテル」
「COMMUNITY」は日本語ひと言で「共同体」
何か同じ趣味や価値観で情報共有してつながるSNSもいわゆるコミュニティ型サイトという言われをしております。
我々の言うコミュニティ型ホテルは「地域」という「共同体」という意味から別名「地域型ホテル」という業態で、ホロ社としてはその領域においてブランドを構築し、ホテルとしての価値を高めていう活動をしていているわけです。
ですから、例えばセトレのようなロケーション、建物内外のムードなどがリゾートチックであっても、基本ターゲットは「地域」に絞っているゆえに「コミュニティ型ホテル」という定義で間違いないのです。
デザインについては確かに力を入れていて、大変重要な概念ではありますが、だからかといっていわゆる「イケている」「かっちょいい!」をターゲットにしている訳ではありません。
よく「デザインホテル」というのを最近よく見たり聞いたりすると思いますが、あれはそれこそ「コンセプトがデザインそのもの」つまり「デザイン好き」や「クリエーター」及び「それらしき人たち」が集まるような意図ですから、その手のものとは違うということは明白なのです。
あくまでも「地域の人々」、もっと言うと近くにいる居住者、もしくはそのエリアに何かしら常日頃関係する人たちです。
当然レイクアルスターやグランドホテル松任は、そういった意味で“ど真ん中の地域コミュニティホテル”といえるでしょう
コミュニティという言葉だけを捉えるならば、ガーデンシティクラブ大阪という施設もある意味「コミュニティ」な「スペース」と言えるでしょう。
それは「地域」という「共同体」ではなく「エグゼクティブという共同体」
その共同体(皆さん)たちにとっての「オアシス」(癒しの場)
今や昔と違って人と人とがつながっていなくても生きていける時代
情報がインターネットなどから何でも入手出来る、情報だけでなく生活していく上での必需品も人と直接介さなくても入手出来る訳ですから、当然人間関係も希薄になりえる。
昔なら、何かを伝える、約束するには電話や手紙などだったのが、今やメールなどで即行で可能、近所付き合いも希薄でも生きてはいける。
それが会話力、向き合って話す力を衰えさせるし、またそんな環境になってきているということは否定出来ません。
最近よくある物騒な事件(路上でナイフ振り回す無差別殺人やバラバラ殺人など)の当事者の多くは特段の友人を持たない、何か世間と断絶した人が多いのはそんな世の中の潮流と無関係ではないような気がします。
そんな世の中だからこそ、何かに、また誰かとつながっているといこうとする志向を求められていくのではないか・・・ということでそんな仕掛け、いわゆる「コミュニティ」創りというのは大変意義のある仕事なのではないか思っています。
私たちホテル業、またホスピテリティ、サービス業に従事する者は基本的に、
「人を喜ばしたい、人に何か施したい、充たしたい、そんな気持ちになれる自分が幸せ」
そのような資質の人たちが集まっているはずです。
だからこそ、私たちのような資質の人たちこそこれからの時代、これから豊かな社会にしていくのには欠かせない人材群と言えるでしょうね。
人との触れ合いや繋がりを、私たちを介して築き上げることによってよりよい社会、健全なコミュニティを形成していけると思うと本当に有意義な仕事と感じませんでしょうか?
そういった意味では私たちは「ホテル業」に従事していると同時に「コミュニティサービス業」という、もう少し広い業態の中に居るという視点を持ちたいと思います。
ホニックロ社の経営理念!
「地域の人々の生活環境の充実、生活感度の向上を目指し、“良質で豊かな社会創り”に貢献します」
正にその大義から、今のそれぞれの役目、役割を果たしていくことが大切なことなのだと思います。
その地域コミュニティという話ですが・・
先日私がもう神戸に来てから(12年余り)、仕事場、住まい共に常に関わりのある神戸市東灘区ですが、その区域内にある御影というエリアがあります。
阪神電車の御影駅の駅前にこの春、ショッピングセンターが出来ました。
ショッピングセンターというには小型と言ってもいいかもしれません。
かつてこの場所には、学校(市立高校)があり、ゆえに集客エリアではなく下町の様相でしたがこの開発によって人の流れが変わってきました。
土日にもなると、こんなにたくさんの人たちは今まで一体どこにいたのだろうか・・・と思うほど活気のあるエリアになっています。
開業間もないということもあるのでしょうが、かつての町並みを知る者にとってはその変貌ぶりには驚きです。
が、かといってそのエリアに大阪や三宮といったところ、また広域から人が流入してきているかどうかというと決してそうではないでしょう。
なぜならそこに入っているショップ群でいわゆる百貨店さながらのスーパーブランドなどは入っていないからです。
むしろ日常生活に関わるアイテム群が中心です。
誰でも知っているといえば「無印良品」と「スタバ」くらいでしょうか
化粧品、食器、インテリア、日常雑貨、本、携帯ショップからクリーニング屋まで、そしてスーパーマーケット機能、レストランなどなどいわゆる「ライフスタイルセンター」という言葉がぴったりです。
「地域の人たちが日常使いの延長線上にある、結構楽しめる空間」
そんなライフスタイルショップです。
まさにこれも「地域コミュニティの場」といえるのではないでしょうか?
私たちにとっては異業種ではありますが、よくよく観察してみると、百貨店とも違う、スーパーとも違う、専門店とも違う、郊外型モールとも違う、雑多なようですがコンセプトがあり、また客層もバラバラ感がない。
そんなところから私たちの「コミュニティ型ホテル」というコンセプトには少なからずヒントにはなりました。
またまた話は飛びますが・・・
そういえば無印良品のコンセプトが「“これがいい”でなく“これでいい”」というところにあるということを聞いたことがあるのを思い出しました。
「これがいい」には際限がありません。
世に言う「ブランド」のおおよそが「これがいい!」の追求のような気がします。
行き着くところ「これでないとダメ!」になりますから、そこにロイヤリティを持って強烈なファン、そして信者へとつながっていく。
強烈な自己主張、それに共感する数限られた人だけをターゲットにする戦法です。
一方「これでいい!」というのは一種の妥協ですから、そこからブランドは生まれにくい、というか不可能に近いものなのだと思います。
ある程度の広い層に対して受け入れられるようにしていくことによって、訴求ポイントが
分散されてしまう。
ゆえに難しい、ゆえに無印良品のブランド戦略というのは私にとっては大変興味深いのです。
「コミュニティ型ホテルのブランド化」を考えた場合の難しいポイントはこの無印良品と同じところにあるような気がしています。
私たちホテル業態は、施設という不動産というものに“商品”としての価値を見出さざるをえません。
建物自体の内容、それはデザインやインテリアなど、また、立地やロケーション、それはいわゆるハコモノの価値であります。
一方でサービス業としての我々は「サービス力」での訴求ポイントを明確にしていく必要があります。
地域の人々に「第二の我が家」「地元のゲストハウス」「すぐそこにある非日常=異日常?」などといったキーワードがたくさんありますが、それに相応しい「これでいい!」は何か、これからのホロ社の大きなテーマであることは間違いありません!
私の知るところでは「コミュニティ型ホテル」で、しっかり認知されたブランド化されているであろうホテルはありません。
私たちホロニック社がそこを開拓していきたい!
そんな気持ちで、そんなビジョンで経営にあたっている今の私です。
 
長田 一郎