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マンスリーレポート

2010年06月

「意志(石?)の強さ」

 

「同じ価値観の人間が集まっても“和”にしかならない、異なる価値観の人間が集まれば“積”になる」
こう言ったのはかつて南極越冬隊長を務めた西堀栄三郎氏です
まさしく「ホロニック」の語源に通じる概念です
氏の著書で「石橋を叩けば渡れない」という本があり、かれこれ20年以上前に読みました。
要は、何か新しいことを始めるにあたってやることは「まずやるかやらないかを決めること」
新しいことにはリスクがあるので、それを事前に調べてから着手するのが常套ですが、氏曰く、それをやっている限りは必ず「やめたほうがよい」という結論になるだけ。
調査するなら、「やるやらない」でなくやることを決めた後に、「どうやってやるか」をするべきと唱えたそんな本です。
簡単に言うと、「はじめてチャレンジすることは四の五の考えないでやれ!」ということです。
なんともロマンチックな話です。
確かに前に進むために一番優先すべき重要な意思決定はまさに「決定する」こと、すなわち「意志の強さ」なのかもしれません。
この“意志”というのは本来誰にでも持っているものだと思います
持っているから「生きていける」のだと思います
ただそれが言葉や行動になって現れず潜んでいる、または封印してしまっている、そんな暗黙知の中に埋もれている人が多いのではないでしょうか?
かくいう私も「一体俺は何がやりたいのだろうか」(これは家庭や、仕事においても、人生を考える上、また些細な出来事を考える際にでも必ずあることです)、と考えるときがあります・・・
何かやる場合(やろうとする場合)、自分で自分の行動なりを意思決定しているはずですが、その意思決定している根底は何かをあまり深く掘り下げたりしようとしません。
逆に深く掘り下げようとすればするだけよくわからなくなってしまって、そこで思考を停止させてしますようなことが多くないでしょうか?
(なぜそれやっているの? なぜやるの? なぜそうしたいの?となぜなぜ問答を自問してみると行き詰ってくるような感じです)
一方で「気付き」とか「パラダイムシフト」といった現象もあると思いますが、その時はまさに掘り下げているときなのだと思います
その繰り返しが自己成長の源泉なのだと思います。
「壁にぶち当たる」というのも誰もが体験することだと思いますが、その壁も結局は、「出来るか出来ないか」の壁でなく、自身の「やるかやらないか」の“意志の壁”なのではないかと冷静に考えるとそう気付きます。
気付きの話しですが、ある本でとても研ぎ澄まされた逸話を紹介したいと思います
<ある大学での授業のシーン>
「クイズの時間だ」と教授はそう言って大きな壷を取り出し教壇に置いた。
その壷に彼は一つひとつ石を詰めた。
壷が一杯になるまで石を詰めて、彼は学生に聞いた
「この壷は一杯か?」
教室の学生が「はい」と答えた
「本当に?」と言いながら教授は教壇の下からバケツいっぱいに砂利を取り出した。
そして砂利を壷の中に流し込み、壷を揺すりながら石と石との間を砂利で埋めていく。
そしてもう一度聞いた
「この壷は満杯か?」
学生は答えられない。
ひとりの学生が「たぶん違うだろう」と答えた。
教授は「そうだ!」と笑い、今度は教壇の陰から砂の入ったバケツを取り出した。
それを石と砂利の隙間に流し込んだあと3度目の質問を投げかけた
「この壷は一杯になったのか?」
学生は声を揃えて「いいや」と答えた。
教授は水差しを取り出し、壷のふちまでなみなみ水を注いだ
「僕が何を言いたいかわかるだろう」
ひとりの学生が手をあげた
「どんなにスケジュールが厳しいときでも最大限の努力をすればいつも予定を詰め込むことが可能ということです」と
「それは違う」と教授。
「重要なポイントはそこではないんだよ。
この例が私たちに示している真実は、大きな石を先に入れない限り、それが入る余地はそのあと二度とないということなんだ」
「君達の人生にとって大きな石とは何だろうか?」と教授は話し始める。
「それは仕事であったり、志であったり、愛する人であったり、家族であったり、自分の夢であったり・・・・
ここでいう大きな石とは、君達のとって一番大切なものだ。
それを最初に壷の中に入れなさい!
さもないと君達は、それを永遠に失うことになる。
もし君達が小さな砂利や砂、つまり自分にとって重要度の低いものから自分の壷を満たしたならば、君達は人生で重要でない何かで満たされることになるだろう。
そして大きな石、つまり自分にとっていちばん大切なものに割く時間を失い、その結果、それ自体を失うことになるだろう。
この話、本当に研ぎ澄まされました。
私を含めて多くの人が、日々の緊急な出来事を優先してしまいます。
また、目の前のクリアできる(簡単な)ことを優先してしまいます。
それが本当の自分の意志であるかどうかに関わらず・・・
この話、壷に水から入れ始めると確実に石、どころか砂利すら入れられないでしょう
大きな意志(石)からモノゴトが始まることをとてもわかりやすく教えてくれています。
自身の根底に潜む大事なこと(自分自身が大事にしていること)、これが意志、そして誰もが所持しているものです。
何かの判断や決断に迷ったときの座標軸はそれなのだと思います。
その座標軸をとっさに引き出すために、常にその「大事なこと」を形式知化しておくことが大事、
つまり「常に意識しておく習慣」が大事なのだと思います。
自分を深く掘っていくことで自分の「意志」がより明確になっていくのだと思います