経営理念

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マンスリーレポート

2009年12月

「ニュービジネス」

 

いよいよ、あとわずかで今年も終わります。
ホロニック社も、来年は12年目を迎えることになります。
ベンチャー企業として産声を上げましたが、今やいわゆる"普通の中小企業“に甘んじるかどうかのラインにいます。
“市場の創造”を旗印に新しい事業、今風に言うと「ビジネスモデル」を築いていく意志は今も変わりませんがこの時期に再度、「再ベンチャー化」を掲げたいと思います。
先日「社団法人関西ニュービジネス協議会」の主催する「2009年度ニュービジネス大賞」という賞を受賞いたしました。
ホロニック社がそれを受賞したということは、歴史ある、また栄誉ある賞であるゆえに嬉しいことは当然なのですが、それ以上に私たちが取り組んできた、またこれから取り組もうとする「コミュニティホテル」という事業分野について可能性を評価されたことが非常に嬉しいことと思っています。
色々な方向から今「地域」というものがテーマになっています。
政治の世界では「地方主権」、食の分野では「地産地消」、また地域資源の活性化、また今社会問題になっている少子化、高齢化も地域の力が不可欠であることは自明なことです。
そんなことからも「地域密着」というテーマはこれからあらゆる分野で重要になってくるのではないでしょうか?
その中で私たちは「ホテル」という集客装置、ハコモノを通じて「地域の人々」「地域社会」にどう影響を及ぼしていくのかが企業として大きな課題になると思っています。
今回、ニュービジネスという観点からいくと、ITやバイオといったような成長産業とはいえません、むしろ成熟産業の部類に入るのがホテル業です。
それはそうです! ホテル業はもう彼是戦後以降特に高度経済成長期に向けて成長してきた産業であり、また旅館業まで広げてみると、それはそれは古い歴史にさかのぼることになります。
そんな中でホロニック社が評価されたポイントを色々伺ってみると「経営理念」ということでした。
それはおそらく
「地域の皆さんに必要で大切にされるコミュニティホテルを目指します」
「独自の業界水準を確立しわが国唯一のコミュニティホテルチェーン会社を目指します」
「わが国のホテル業界に影響を及ぼす企業、またホテル業界の発展、地位向上の担い手になる企業を目指します」
このコンセプトを持って評価を頂いたのではないかと思っていますし実際そのようなお声をたくさん頂戴しました。
その地域やそこに住む人、働く人にとってその生活、つまり日常の場、時間というものを充実させたいというニーズ、要望がないわけありませんし、またいかに充実度を高め続けたいということは途切れることはないのでは
ないでしょうか?
かつて、まだ高度経済成長の最中、モノが不足していた時代、そう映画「三丁目の夕日」に出てくるような時代には一家に一台テレビなどない、そんな時代の頃は近所の家族が寄り合ってテレビのある家に皆が集まって国民の注目する「力道山のプロレスの試合」や「東京オリンピック」を見ていたようです。
また公衆浴場(銭湯)などもたくさんあり、そんなところに人々が集まってはある種の地域コミュニティが形成されていたのだと思います。
今やそんな時代ではなく、一家に一台どころか一部屋に一台のテレビ、電話は個々人が持つ時代。
それはとてもモノが充足した時代とも言える一方で、人と人との繋がりというものが希薄化されてきている時代とも言えるでしょう。
インターネットの普及なども含め、色々不便なものが充たされてくるに従って人との関わりを持たなくても生きていける時代はとても便利とも言えるし、豊かさの象徴みたいなものかもしれません。
しかし、一方で孤独死などが増えたり、いたたまれない事件、事故が増えたりしているのも今の豊かな時代ゆえの代償のような気もします。
「モノからココロへ」という風に言われて久しくなりましたが、これからの時代が本当にそこを充たす社会が必要になってくるのではないでしょうか?
私たちの目指す「コミュニティホテル」という分野は、もしかしていわゆる私たちが一般的にイメージする「ホテル」とはタイプの異なるものであるかもしれません。
やはりホテルとは一般的大方に、どこかの観光地、またはレジャーなどに行く際の宿泊場としての役割、機能としてみていませんでしょうか?
例えば海外旅行などを計画するとき、皆さんまずどこのエリアに行く(例えばイタリア、ミラノ、ハワイ、沖縄・・とか)、そしてそのエリアの名所(海、山、世界遺産)やニーズ(買い物、食事、観光・・)が主体、そして「じゃあどこ泊まるか?」という順番ではないでしょうか?
「アマンに泊まるためにバリに行く!」というような人はまだまだ稀ではないでしょうか?
そういった意味で「コミュニティホテル」はそのホテル自体にそのお客様のニーズを充たすものがなければいけません。
その地域の方々の日常生活において、少し異なった空間や時間、そこに充足を与えられるようなサービスをいかに提供出来るかというところがポイントです。
ブライダルビジネスも今非常に活況、またこれからの少子化、晩婚化などもあいまって競争が激しい業界の様相です。
その中でいち早く、ニーズを捉えたハウスウエディングのさきがけとなるような企業や施設が業界をリードしつつありますが、いくら素晴らしい施設をつくったところでやはりお客様は基本的にその周辺に住む人が大半で、ハワイや国内で言えば沖縄のようなリゾートウエディングをする人以外は、結婚式前、もしくは後に住む場所の近くで結婚式を挙げるのが大半です。
従って、それもある意味地域コミュニティの分野に入ります。
宴会にしてもレストランにしても、鉄人シェフや星つきシェフが居ようと、よほどのことがなければわざわざ遠方よりその店に日常的に食べに来る人など居ません。
これだけ飽食の時代といわれているわけですから、一部のセレブのような人を除いては「極めつけの非日常時空間を日常的に消費する」などと言う人は居ませんから・・。
ホテルは非日常的体験をする対象物だと考える人は多いですね。
「サービスの極みはホテル」という人も多いですし、そんなことを書く書籍やジャーナリストも多い、またそんな特集を組むテレビ番組もある、そんなところから憧れてその業に就く人も多いのは事実です。
確かにそのようなラグジュアリーホテルが存在しているのも事実、しかしホテルといえば全てがそうかというとどうでしょうか?
ホテルというジャンルも多様になってきたのではないでしょうか?
例えば今の時代、百貨店とスーパー、はたまたコンビニや量販店が同じ「小売業」であってもひと括りにする人は居ません。
それら小売店もかつては「商店街」または「小売業」の一括り、しかし今やそこから派生して多岐に及んだ業種、業態になりそれぞれがそれぞれの存在意義、特徴を持って成立しています。
ホテルでもそれと同じような現象がこれから加速されるのではないでしょうか?
ハウスウエディングが「婚礼はホテルで」というそれまでの常識を翻してきています。
ビジネスホテルでも目的は一つですが、それでもしっかり空間創り、時間創りに知恵を凝らしています。
レジャーホテルでも同様です。
まさにホテルひと括りでなく異業種格闘戦が繰り広げられる様相です。
そんな中で「コミュニティホテル」という分野は、単にお客様のニーズ(必要性)を充たすことだけに留まらず、その地域にとっても必要とされる社会性を帯びた存在になれる可能性を持っています。
これからの「モノ余りの時代」そして「ココロの充足」が「豊かな社会」の象徴になるのであれば、それは地域ホテルというものが負う役割は大きくなると思います。
これまでもいわゆる「コミュニティホテル」というのは存在していましたし、今でもおおよそ10万人以上の市町村には必ずといっていいほどホテルは存在しています。
それは観光資源があるとかないとか関係なく、その地域のシンボリックなものとして存在しています。
それが有機的な役割を果たしているかどうかが問題であり、これからの課題なのだと強く思います。
また私たちホロ社はその課題感を持った企業としてその分野に経営資源を集中させていこうという意志です。
ホテルが目指すところは何か?と聞かれると多くの経営者がこう答えると思います
「最高のサービスを目指す」
最高のサービスというのはどんなサービスなのでしょうか?
何と比べて、どこと比べて何がどう最高なのでしょうか?
私たちは「もっともお客様と近いホテルを目指したい」と宣言したいと思います。
「近い」とは・・・この定義をこれからひとつずつ明確にしていきたいと考えています。
「最高のサービス」などという抽象的な概念よりかははるかに分かりやすい定義が出てくると信じています
「お客様を名前で呼びかけられる」そして「お客様に名前で呼びかけられる」
そんな現象になってくること、またそんな現象になるためのルールをつくるのもこれからの大事なテーマだと思います。
地域のお客様を対象にするのだから、地域雇用や地消地産なども基本的な思想に入ってくるでしょう。
この辺りをしっかり整理して、よりホロニック社としての姿勢を明確にしていきたいと思います。
それが来年、2010年また2010年度に向けてのホロ社の大きなテーマになっていくことと思っております。
 
長田 一郎