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マンスリーレポート

2009年08月

「決断の極意」

 

「100年に一度の経済危機」と言われもう間もなく一年くらいが経過しようとしています。
バブル崩壊時とさほど変わりのないような概念によって引き起こされたいわゆる「サブプライムローン」の終息も未だ不透明ではありますが、それでも20年前の出来事の繰り返しですから(世界同時多発と言うのが今回の特徴であると言えども)、100年に一度というのもいささか違和感があるところではあります。
とは言え、私達の業界のみならず大概が業績に窮している状況が続いているのが今の事情であることも事実です。
先月のマンション受注戸数が昨年のそれと比べ、何と30%も減少しているそうです。
これははっきり言って壊滅状態といえるでしょう。
どの水準が適正かどうか別にして急激な落ち込みに企業などの組織の体力がついていくのは至難の業でもあります。
このマンスリーレポートでもよく書いていたのですが「好不況が業績に原因ならば経営者は要らない」という言葉に共鳴していた私でも流石にここまでの激変に対応する免疫はついておりませんでしたので四苦八苦しているのは正直なところです、
一方で、現状の外的要因に耐え忍びながら、今必死になって打ち続ける手、または努力は必ず後々にしっかりカタチとして貢献してくることも間違いありません。
集客や収入が伸び悩む中で、社内の体質を筋肉質にしていくことで強い体力や体質が芽生えてくるのだと信じています。
・原価の管理、販管費の活用などの不徹底
・それによって発生するムダなコスト、またそれが当然という体質
・縦割り的組織にありがちな役目役割の分担から来るガチガチなセクショナリズム
・それによって発生するムラのあるコスト構造・・・などなど
これらのこれまでの体質を今一度見詰め直すことがトップである経営者、また経営者層には求められます。
また全社、全社員でそれを意識することで”損益分岐点を下げる“、つまり「売上が抑えられ
ても利益が出る体質にする」ことが大事です。
もちろん費用だけでなく、ムダ、ムラに陥っているモノやコトが他には何かないだろうかという意識!
この意識を今一度覚醒させる必要があります。
それはある意味、スタッフの皆さんに無理を強いることでもあるかもしれません。
しかし一生懸命そのことを意識しながらやることで体質はつくられます。
景気がよく、収入や集客がスムーズな時は、このような意識は希薄になるのが世の常です。
ムードが高まると、いわゆる「イケイケ」になるものです。
「勝って兜の緒を締めよ」ということわざがありますが、本当にそのことを実行出来る人は皆無とは言いませんが、早々おりません。
このような厳しい環境におかれたのも私たちがこれからさらに強くなる試練を神さまが与えたのだと“めでたく?”考えて突き進む覚悟です。
また一方、抑制することで失ってはいけないモノがあることも知っておく必要があります
「戦略経費」です
収入や集客を増やすために打ち続けなければいけない施策を止めてはなりません。
施策内容を見直す必要はあるかもしれません。
しかし、収入施策を止めてはなりません。
今の世相、これまでうまくいっていた施策がそのまま通用するということはないでしょう
従って色々手を変え、品を変える必要はあるでしょう。
しかし、今は何をやってもダメと判断し、施策そのものをやめてしまってはいけません。
こんな時期こそ攻めなければいけません。
特に営業や企画はこれまで以上に強化せねばなりません!
一見、何をやっても成果の出ない事態、動いても感触や反応の手ごたえが弱い時ではありますが、必ずやった分は戻ってくるのが世の常です!
私も社会人駆け出しの頃、証券営業はまさに真っ暗でした。
バブル崩壊の急降下の中、お客さんは痛んだ人ばかり、それに加え証券不祥事が勃発し、損したお客さんの悲鳴をまさに現場で目の当たりにしておりました。
まわってもまわっても成果の出ない日々でしたが、しかしまわり続け、お客様から、怒鳴られ、
それでも来るから珍しがられ、そのうち話ししてもらえるようになり、やがて可愛がってもらうようになるような関係がポツポツ出来るようになったその頃、株式市場が上昇してきました。
そのお客さんたちが私から買ってくれるようになりました。
どんどん数字を上げられるようになりました。
それまで成績に差のなかった同期や先輩をわずかな間にぶっちぎりました。
「アリとキリギリスの寓話」の真実がそこにありました。
だから、「その日」が来るのを待って辛抱して施策を打ち続けるのです。
攻めるのです!
攻める気持ちがなくなったらこれまでの努力が泡になります。
「失敗」というのは諦めたときに発生します。
諦めなければ「失敗」は「実験」になります。
そりゃそうです
諦めなければ「結果」が出るのですから、「実験の成果」が【結果】に他ならないのです。
私たちは、今「実験」を繰り返す必要があります。
実験から「実感値」をつかみ、免疫を高める必要があります。
だから「攻め」なのです。
企業において、攻めるも退くのも経営者の決断というのが大事です
どちらが正しいのかどうかなど誰にもわかりません。
その極限の選択や決断に「分析」など有効ではありません。
「分析」で事態が決められるのであればビジネスは「経営者はアナリストがやるのがベスト!」です。
しかしアナリストや経験豊富な匠でさえも手に届かない、手に負えないのが「決断」です。
昨年来、よく口にしてきました
「絶対に引かない」
今のホロニック社は完全に「攻めモード」です
ましてや「引く」つもりは全くありません。
しかし見直すとところは根底から見直す、抑えるところは徹底的に押さえる
そんな覚悟です。
決断の極意は「決めること」そしてそれを「守る」こと
信念に従っていく覚悟が経営者には必要だということをこの時期マジマジと実感しています!
一度蓄積したモノやコトは捨てにくいものです。
「捨てる技術」という本がロングセラーになっていますが、それだけ「捨てる決断」というのは誰もが難しいと感じているのかもしれません。
これまで積み上げてきたモノ、蓄積されたコト、特に「経験則」などが最たる例です。
地位や名声もそうかもしれません。
ここまで頑張ってきた努力や成果物、またその過程、思い出せば出すほど「残したくなる」ものばかりです。
蓄積されたものを整理できない人は、経験に生きている人かもしれません。
それを「捨てる」には勇気も要りますし覚悟も要ります。
実際「怖い」し「不安」なのが普通だと思います。
しかし、もはや歴史学者でない限り、蓄積される情報や知識はいち早くさばいていく能力が必要かもしれません。
これだけ早い情報化社会です。
過去のデータや過去の蓄積がどれだけ役に立つかなど誰にもわかりません。
わからないことを決断するのが経営者
決断したことに向かって指針を示すのが経営者
その指針を持って大海原に出て、ゴールにたどり着くことが出来て「真の経営者!」なのだと思っています。
そこのところを肝に銘じてこの難局の時代を駆け抜けていく所存です!
 
長田 一郎