「嬉しいホテル」
2022年も残すところあとわずかになりました!
2020年から始まったコロナ禍が、もうすぐ3年経過し第8波に至っています
この間は、まさに守りの陣形、中腰で耐える時期が続きました
今もなお、完全終息がどこか、そもそも終息するのか?など不測な状態が続いています
しかし、考えてみると、世の中、というか人生は不測の事態の連続です
不測事態が普通だと考えて生きていれば、平常心を保ちながら、そして常に土俵の真ん中で相撲を取り続けることを意識することが出来ます
私なりに、この3年間、立ち止まって(立ち止まっているつもりはなかったけど、手も足も出ない中で止まって考えざるえなかった)セトレを中心としたホロ社のありかたを深く考えることが出来たように思います
現場にお客様が来ない、ならば、それまでのノウハウを活かしてBtoBのコンサルティングを強化したり、来ないならば、モノをつくって売る(物販)を本格的に開始したり、そしてリモートワークなどが常態化する流れにあわせ、働き方の多様化に対応すべく人事制度を一新したり、まさに飛び石的にジタバタするでもなく、流れに抗うわけでもなく、不足の事態をテコにしながら対応をしてきたように思います
ホテルのありかたも、マイクロツーリズムなる言葉が出てきて(これもある意味,不測でした・・・)、改めて「地域資源を企画する」ことを主語化にしていくことに自信が伴ってきたと感があります
さて、このホロ社の主業態でもある「ホテル」
社員の8割がその部門に帰属する「ホテルの現場」
そこで目指すべきものは何か・・・を常々考えています
業界誌の年初に発売される号で、毎年執筆していますが、今年(というか来年)のタイトルは「嬉しいホテル」にしました
普通、「楽しいホテル」とは言い使われますが、「嬉しいホテル」とはあまり言いません
それって何でしょうか?
業界誌の寄稿にはこの一節を書きました
セトレでは、これまで「楽しいホテル」は何かを求めながら、差別性を追求してきましたが、これからはその進化系として「嬉しいホテル」をつくっていきたいと考えています
「嬉しい」には、何かを消費する喜びからでなく、誰といたか、誰と出会えたか、など楽しい出来事に対してそこに人が介している場合に使われます
ホテルのスペック、コンテンツ、そしてコンテクスト・・・その間に人との出会いやコミュニケーションが介在することで「嬉しい」という情感になっていきます
楽しい場、楽しげを演出することから、嬉しくする・・・嬉しいを広げていく活動を主体にするホテル。それが本来の日本伝来のおもてなしの概念ともいえると思います
「セトレをもっと嬉しいホテル」
そんな嬉しいを創り出していくホテルを目指してまいります
楽しいはどこか「名詞的」で、嬉しいは「動詞的」です
違いは「〇〇されて嬉しい(〇〇されて楽しい・・・とはあまり言いません)
この「される」は人が介在されて感じる情感です!
ホテルの商品力はハードスペック・・・というのが業界の常識です、それにコンテンツという付加価値があって価値を高めますが、それもやはりハードの域を出ません
ハードにコンテクスト(文脈)を組み合わせてストーリーが出来てそこにワクワクや楽し気・・・が演出されます、しかし、そこまででは「楽しい」になっても「嬉しい」にはなりません!
この数年、「モノからコト」と言われて久しいですが、言われるあまりに「コト商品なるモノ・・・」(〇〇体験ツアー、という商品(プラン)的な・・・)がまん延しだしました!
コト消費は体験価値そのものですが、お客さんが欲しいのは「体験そのもの」でなく「体験を通じた体感」ですね
ワクワク、ドキドキ・・・気付きや発見・・・それが体感です!
テーマパークはそれをアトラクションというハードで作り出しますし、それはスペックやコンテンツです
それを越えてくるのが「〇〇されること」つまり、そこには人が介在することで「嬉しい」に転嫁される「コト」なのではないでしょうか?
現場でお客様と対面で接する皆さんからは、「そんなの当たり前でしょ」と言う声も聞こえてきそうですが、お客さんの「嬉しい」をつくることを常に意識していますでしょうか?
お客さんの喜ぶ表情を見るのが生きがい・・・と本能的に思える人は、ホテルの類のサービス業に向いている人です・・・(というかそうでなければその仕事に就く資格もないと思います・・・)
「嬉しい」と言ってくださるのは最高の賛辞だと思います
それはお客様と瞬間瞬間に接している現場スタッフの感性にかかっています
感性・・・英訳すると「センス」
センスはスキルと違います・・・スキル(技術)は鍛錬すれば必ず高まっていくものですが、センスは鍛錬でなんとかなるものでもありません、モテない人が懸命に鍛錬してもモテる
ようにならない(むしろモテを鍛錬(スキルアップ)しようとすればするだけドン引きされそうです・・・)
スキルは、教えてもらえれば、ないしは教科書を読んで実践すれば必ず、実践しないよりも上達します
しかし、センスは教えられませんし、「センスを磨く本」などありません(あったとしてそれ読んでセンスが上がることはありません・・・)
これ自らの、それこそセンスに委ねられている、宿っているものです・・・(もはや堂々巡りのような話です)
「嬉しいホテル」を目指すためには、そのホテルに関わるスタッフのセンスにかかっています、
そのセンスを高めるためには、センスというものに最大に関心と興味を持つところから始まるのだと思います!
体感知、体感温度、情感、心が揺さぶられる感じ・・・「感じる力」そのものがセンス
なので、センスは見映えとか、よくいうファッション的なセンス(お洒落的な・・・)・・・ということでなく、個々人の持つ、宿るこだわり、想い、考え方、理念!・・・みたいなものから醸し出されてくるものだと思います・・・それを見つけ出し(というか引き出して)磨く・・・この繰り返しをしていくことが肝心なことなのだと思います!
「体験価値」でなく「体感」
英訳すると前者は「EXPERIENCE VALUE」という名詞ですが、
後者は「To EXPERIENCE」ないしは「Be EXPERIENCE」こちらだと動詞的です
体感温度を上げていくことで、自分の周りの人達の「嬉しい」という情感が生み出される
そんな「嬉しいホテル」
だから、「嬉しいホテル」の主体は人が肝・・・ということになるわけです
そこを目指していきたい