経営理念

HOME > トップメッセージ > マンスリーレポート

マンスリーレポート

2011年11月

「信頼の威力」

 

政治の世界では「原発問題」「TPP問題」「沖縄米軍基地問題」など「どっちが正しいのか」という議論がなされ、それがメディアや民衆がこぞって参加してイデオロギーのぶつかりあいの様相です。
しかしながらこれらを一元論的に議論するのは難しいのでしょうね
当事者である「個」の立場と、「個」を一部とみなす「全体」から俯瞰してみる立場とでは意見が割れるのは当然です。
TPPにしても、農業だけをみればその関係者及びその支持基盤を持つ立場で論ずる人と、世界の中での日本の競争力といった見方で見る人とでは当然考え方がずれます。
原発にしても、廃止を唱える人が多い一方で、日本経済を牽引する技術力の中に安全な原子力発電を開発する力は日本が高い競争力を持っている・・・それを廃することは、経済の停滞につながる、すなわちそれは私達の今の生活水準を下げることにつながる。
または“それらを回避するための施策はこう!”などといった色々な見識者の論が加わって、結局何が正しいかというのは「・・・」と感じている人が多いのではないでしょうか?
そうです!
何が正しいのかが見えない時代
そんなときだからこそ「リーダーシップ」というものが重要になってきているのだと思います。
何が正しいか、でなく、何を決めるか
“決めたことを正しく導いていく”
この態度や行動が求められているのだと思います
「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」
という言葉に私は心響かされます
目の前に問題を解決すること、目の前の困っている人にとってよいことをすること・・・それは大事なことですし、善意ある人の行動でもあると思います
しかし、それが仇になることも多い。
日本は物質的に豊かになったが、精神的には豊かではない、なぜなら自殺者の数は世界でトップであるし、引きこもりといった病状は世界見回しても日本だけだとも言われています。
豊かさを目指してきたことの「功」はもちろんありますが、それゆえの「罪」ということも多い
しかしそれは結果的にそうなったわけで、はじめから想定できるものであったのならばそんなことは施されていなかったはずです。
それだけ難しい時代になっているということでもあります
大きな視点や視野で俯瞰して見れる力を持つことがとても重要になってきています
その目線で見たら、今ある事象、目の前に居る人にとっては非情と思われることもあるかと思います。
それでも時が経って、それが実は正しいことだったとなることもある。
その見極めは本当に難しい
だから「正しいことは何か」でなく「決めたことを正しく導く」力がリーダーには求められてきているのだと思います。
リーダーの資質でいえば、最近日本国内を明るい話題に変えたひとつに「なでしこジャパン」のワールドカップ優勝があります。
澤キャプテンの「苦しいときは私の背中を見なさい!」という指示、リーダーシップにも感服しましたが、このツワモノ女性群をまとめ上げた佐々木監督の功績も高い評価を得ています。
今回の勝因を「監督や仲間との絶対的な信頼関係」「感謝の心」「チームのためにそれぞれの持ち場での役割と責任を果たす」といった発言をしている選手も多かったようです。
強いチームワークは、強い信頼関係によってなされます
私宛に定期的に送ってくる営業案内ツール(いつもなら読まずに捨ててしますのですが・・・)の一文が私には印象的でした。
「信頼は“誰もが出来ないと思っていたことを成し遂げることが出来る”ほどの大きな力をもたらす」
「7つの習慣」の著者スティーブンコヴィ氏も著書の中で
①信頼↓=スピード↓ コスト↑ (信頼が減るとスピードが落ち、コストが上昇する)
②信頼↑=スピード↑ コスト↓ (信頼が増えるとスピードが上がり、コストが低下する)
例えば9.11のNYテロ後の空港は"空の安全に対する信頼が低下“した結果、セキュリティチェックが厳しくなり、入出国手続きのスピードが鈍り、そしてコスト(9.11安全税)がかかるようになったそうです。
先日大変衝撃的な場所に行きました。
明石にある太陽酒造という酒蔵です。
そこでは主人が徹底的にこだわった酒造りをしていて、その愛飲家だけでおおよそその年の出荷分を売ってしますそうです。
もちろんこだわりもあることからたくさんの数を造らないからということもあるのでしょうけど、酒販店などに売ってもらうことをしないので、余計なコストや手間はかかりません
その酒蔵が、週1回試飲会のような居酒屋営業みたいなことをやっていて、駅から遠く、しかも周辺には人も行き交わない「閑静」といえば聞こえはいいですが、ひっそりした場所に電灯も看板も掲げず営業して大繁盛していました。
酒は当然自分のところの酒だけ、料理は奥さんの手作りの簡単なものだけ
しかもセルフサービス、しかも・・・一品100円。。。というか大皿に入ったおかずを「ひとつかみ100円!」といった表示、しかもしかも・・・お金入れるかごが置いてあるだけ・・・
そう自主申告です・・・凄い!
何なのでしょうかこのお客さんとの信頼関係感は・・・
まさに主客一体、英語でいえば「WITH」の構造
しかも、主客一体だけでなく、客間も一体になっている、まさにコミュニティでした。
どうしたらそんな関係性を築けるのでしょうか?・・・・
やはり「信頼関係」ではないでしょうか?
ビジネスの世界、職場間でも、信頼関係は大事だということは誰もがわかっています!
それを否定する人は居ないでしょう!
そう!誰もが「信頼関係は重要」だということはわかっているのです!
でも、それが行動にならないのはなぜでしょうか・・・
私もきちんとわかっていれば苦労はしないので、何が正しいかはわかりません。
しかしわかることは、信頼関係は、まずこちらから信頼することから始まるのだと思います
「GIVE&TAKE」という言葉がありますが、それは「持ちつ持たれつ!」です
が、それでは足りないのだと思います
「GIVE&GIVE・・・&GIVEN」・・与える、与える、与える、するとやがて与えられる
信頼関係は「与える」ことから始まるのだと思います
行動できなくても、まず頭でも何でもここをよく理解していきたいと思います
先ほどの
信頼↑=スピード↑ コスト↓
現場では常にコストをいかに下げるには?、スピードを高めるには?・・・(もちろんいかに売上(集客)を増やすのか!ということもですが・・)ということがマネジメント層の永遠の課題になっています!
なので、逆にいえば“信頼関係を築く”という大目的を実現するための手段は、日々”いかにスピードを高め“”コストを下げる(手間を省く?無駄を排す?)
ここに腐心していくことで勝手に「信頼」は高まるのですね!
何が正しいかがわからない時代、リーダー(に限らずですが・・)に必要な資質は、
「決定する力」
それを「断行する力」
そしてそれらを「早める力」
早く決定して、即行動する力
それによって信頼関係構築がズムーズになるのかもしれません。
経営の神様、尋常小学校しか出ていない体の弱かった松下幸之助氏も言っていました
「私は学がないから素直に(人)にわからないことを聞けた、体が弱いから思い切って人に任せられた」
社員を含めたあらゆる周囲に人たちへの”信頼“こそが人間松下幸之助をつくったのかもしれません。
信頼関係を築く力こそリーダーに求められていると肝に銘じます!