2018年03月
「スープの石」
これはポルトガルに伝わる寓話だそうです
ある村の女の人の家を身なりのよい旅人が訪ね、何か食べ物をいただけないかと言った。
「あいにく何もないんですよ」と女の人は応えた。
「ご心配はいりません」と旅人はにっこり笑って言った。
「このカバンの中にスープの石を持っていますから・・・これを熱湯の中に入れさえすれば世界一美味しいスープが出来上がります!大きな鍋にお湯を沸かしてください」
女の人は半信半疑で、かまどの上に大鍋を乗せて湯を沸かし始めた。
そして隣のおかみさんにいきさつを耳うちした。
お湯が煮える頃には近所の人がのこらず家にやってきた。
旅人は石をお湯の中に落とした。
そしてお湯をすくって口に含んだ。
「なかなか旨い!ジャガイモが少し入ると上出来だ。」
「ジャガイモなら私の家にありますよ。」
見ていた一人が言った。
すぐさま自分の家に戻って皮のむいてあるジャガイモをたくさん持ってきて鍋に放り込んだ。
旅人はまた一口味見した。
「あ~旨い!肉が少しあれば素敵なスープが出来上がるのだが・・・」
別のおかみさんが家に帰り、肉を少し持って戻ってきた。
旅人は感謝の言葉をかけ、肉を鍋に投げ込んだ。
そして一口味見した。
「実に美味しい!あとは少し野菜が入れば完璧だ!」
また別のおかみさんが家に走って戻り、かご一杯のニンジンとタマネギを持ってきた。
鍋に野菜を投げ込みしばらくして味見をした。
今度は命令口調で「塩とソースが要りますね」
家の主が「ここにあります!」と言った。
「めいめいにお椀を!」
人々は家に走って戻りお椀を持って戻ってきた、中にはパンや果物を持ってきた者もいた。
旅人はみんなに信じられないほど美味しいスープがなみなみ入った椀を配った。
おしゃべりをしながら、みんなでつくったご馳走を味わった。
その空間には笑顔が溢れ、誰もがとても幸せな気持ちになった。
この「スープの石」のこの石・・・実は「何の変哲もない石」で、旨みの成分が染み込んだ「魔法の石」ではないって話しです。
そしてこの寓話の主人公「旅人は詐欺師だ!」って話しでもありません。
この「何の変哲もない石」がその地域に眠っていた資源と家の中に閉じこもっていた住民を引っ張り出して、それらを融合することで祝祭的な時間や空間が生まれたという話です。
つまり、この「変哲もない石」が地域コミュニティの活性化に触媒的な役割・・・つまりホロ社的にいうと「つながりつなぐ」役割を果たしたという話です。
ホロ社の皆さんが日々行っている「つながりつなぐ活動」の目指すところはこの話しの終幕で語られることと同じです
地域の資源を引き出して、地域の人々を豊かにしていく一助になる・・・
私はここにホロ社の目指す姿が集約されていると思っています。
「何の変哲もない石」はひょっとすると我々かもしれません。
しかし、その変哲もない石が、人の気持ちや社会を変えていく原動力になる可能性があるのです。
ヒトとヒト、ヒトとモノをつなげていくことでその人の生きがいややりがい、働きがいを高めていくことができる・・・
そしてそんな「甲斐(かい)のある人」に溢れる地域は、きっと他や外からも魅力的に映るに違いありません。
ホロ社はセトレというホテルを企画し、運営しています。
しかし、ホテルを増やしたり、売上を増やしたりすることが経営の目的ではありません。
目的はこの寓話にあるような「つながりつなぐこと」で「人々のいきがい、やりがい、働きがい」を創ることです。
そしてその先にある「活き活きとした人たちに溢れる家族、会社、地域、社会、国、世の中、、、」を創ることですね!
些細な「つながりつなぐ活動」・・・それが大きな結果につながっていくのだとわりと真剣に思っています。
ホロ社の企画、運営する施設(ホテル等)が大きな社会貢献につながっていくのだと思っています
私達はこの寓話にあるような「石のスープ」や「旅人」のような役割を果たしたい。
そしてそんな「旅人」を量産されていくことがホロ社の成長につながっていくのだと信じています。