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マンスリーレポート

2007年11月

「気合と根性(論)」

 

皆さんご覧になっている方もいるかと思いますが、今、夜のテレビ番組で「医龍」というドラマが放送さ
れています。
私はこの手の社会性・シリアス正義感系ドラマを好んで見る傾向にあります。(最近自覚したのですが・・)
見ていない人のために簡単に解説すると・・・
天才外科医師の朝田龍太郎(坂口憲二)とそれを囲む個性的で優秀な医師による「チームドラゴン」称す
る手術チームが数々の困難な手術を成功へ導いていく。
ストイックに患者に向き合うがゆえに(必ずしも患者と病院と都合は一致しないので)、病院という機関組
織、権威に背く行動が目立ち、よって医局からは煙たがられ追いやられる。
しかし「出すぎる杭は打たれない」、 病院の立場でなく、患者を助けることへの使命感の強さと卓越した
技術とそこから生み出す結果(大手術の成功の連続)が大変視聴者には共感を生んでいるドラマなのだと
思います。
物語としてはよくある、「理不尽な現在の業界構造、組織構造に迎合せずに自分の信念の元に生きている主
人公の姿を描き人々に共感を生む」
まさに「正義は勝つ」
そんな感じです。
構成はお決まりではあるのですが、どうも私はその手のドラマが好きなんです。
そんなドラマの中でこんなシーンがありました。
極めて難手術、もう成功する確率などゼロに等しい手術、それを成功させるためにこの主人公はじめメン
バーは頭を凝らし、悩み、助けることだけに一点集中し手術成功の絵を描き続け出した結論が
「やるしかない!」「それ以外方法はない!」「最後まで諦めるな!」
こんなセリフが何度か飛び交っていました。
まさに手に汗握るシーンです、力の入るシーンです、ジーンと来るシーンです。
さて、この「やるしかない」「それ以外方法はない」「最後まで諦めるな」
この言葉、
これは「気合と根性」以外のなにものでもありません。
この気合と根性という言葉、もう今の時代一見古臭いと思う人も多いかと思いますが、いやいやどうでし
ょうか・・・・・
何か新しいことや、物事を始めるとき、まず大切なことは「目の前の作業」に向かうことではありません。
「ゴールを設定すること」です、つまり「成功の絵姿をイメージすること」です。
大きな志を持つことです。
それなくして、プロセスを踏むことは単なる「作業」に他なりません。
手段を講じて目的が達成できるのでなく、「目的」があるからその手段の有効性、必要性が理解出来るので
す。
昔飛行機など無い時代に、理屈から「空を飛べる機械がつくれるのではないか・・」などを考えていたら
おそらく出来なかったのではないでしょうか?
そりゃそうです、鉄が浮く訳がないのですから。
その時代に、ある大志のある人が「空は必ず飛べる、いや飛べるようする!」というとてつもない強い想
い、確信、信念があったからこそ実現して今のような進化があったのだと私は思うのです。
その間に何度も失敗、もしかして何人も人が死んでいるかもしれない。
それでも、諦めず、試行錯誤を続け、自分の意志、信念、使命感に向かっていった結果、今のような社会
を迎えたのだと思います。
わが身を振り返ってみてもそうですが、人から指示されたことより、自分から主体的に決めて動くことの
ほうがはるかに、やりがいがあります。
また、効率もよいだろうことは皆さん誰でも理解できることでしょう。
昔フランスの哲学者パスカルが「人間は考える葦である」といった一説は有名です。
それは
「すべての人間は幸福を求めている。これには例外がない。その手段がいかに異なっていようとも、み
なこの目的に向かっている。意志は、この目的に向かってでなければ、一歩も前へ進まない。これはあ
らゆる人間の、みずから首をくくろうとする人に至るまでの、あらゆる行為の動機である」
つまり
人は自分の意志に対して、幸福に対して切磋琢磨、試行錯誤を続けても遂行するのです。
なので
「人間の尊厳のすべては、考えることのなかにある」
「考えが、人間の偉大さをつくる」
ということです。
ゴール、成功を思い続け、考え尽し、そのプロセスも考え尽し、いわゆる「万策尽き果てた」ところから
出る言葉「やるしかない」「それ以外方法はない」
その決断の言葉には力があります。
まさに「気合と根性」です。
そして気合と根性があって、私は始めて「物事の成功」があるのだと思います。
・・・・・
さて、話は変わるのですが、私が尊敬する方の1人で野田一夫先生という方がいます。
この方は私の前職PDS社の社長で、昔からに旧友である野田社長の父上です。
大学教授、学長という職で数々の要職を歴任してきただけでなく、大学の学部、または大学の創設などに
も深く関与し経済界、特にはベンチャー企業を促進するための活動などを主に行ってきた私にとっては心
の師でもあります。
昔よく先生から色々な逸話をうかがっておりましたがある時こんな話を聞きました。
授業で教えている時に遅刻して教室に入ってきた学生を皆の面前で怒って、その理由を問うたそうです。
するとその学生は「すいませんちょっと足が悪くて」と答えたそうです。
先生は、遅刻して最もらしい言い訳をするのは日常茶飯事なので、その学生の態度にもそう感じたのでこ
う返したそうです
「そうか、足が悪い程度でよかったな! 世の中頭の悪い人が多いから、君は随分ましな方だな!」
と皮肉交じりに言ったそうです。
数年後その学生が卒業する頃に先生の研究室を訪ねてお礼に挨拶に来てこう話したそうです
「あの時先生に、足が悪いくらいでよかったな、世の中頭悪い人ばかりだからといわれて人生が変わりま
した」と・・・
「それまでは足が悪いことで、ふて腐れたり、なぜ自分だけが!とか自暴自棄になることもあって人生が
楽しくありませんでしたが、あの時の先生の言葉で、あ~世の中には頭の悪い人が多いんだ、それに比べ
たら足くらいでウジウジしていた自分がバカらしくなって世の中頭の悪い人が多いなら自分は随分幸せな
んだと思ってそれから一生懸命勉強したり、とても人生に前向きになれました ありがとうございました」
と来られたそうです。
先生は、足が悪いのはうそで言い訳だと思って皮肉を言ったので、その話を学生から聞いてとてもバツが
悪いような思いをしたそうです。
しかし、結果的にその学生はその出来事をきっかけにパラダイムシフトし「気合と根性」で主席の成績で
学校を卒業したそうです。
おそらく、今でもその体験を励みに頑張っているのだと思います。
「考えること」は人間にのみ与えられた大いなる特権でもあり、言い換えればそれは「気合と根性」も同
様のような気がします。
周囲の環境など、実は関係ありません!
どんな環境であっても人に与えられた平等な権利
それが「考えること」
その考え尽くすこと、気合などから生み出されてくるパワーは無限なのだと思います。
人間にしか与えられていないその権利を行使しないのは人としてなりませぬ。
「人間不可能なことはない!」
そんな言葉を聞いてこれまでは「いやいや不可能なことはたくさんある、そんな精神論だけでは無理じゃ」
なんて思っていたこともありますが、それは間違いなのだと気付きました。
「人間(頭で想像出来ることで)不可能なことはない」
そう思います。
なぜならそもそも人は誰しも不可能なことなイメージしたり想像したりしないものです
(さすがにドラえもんに出てくる「どこでもドア」などは不可能に思うのですが、しかしそれであっても)
「不可能」や「困難」から物事を発想している限りは決して物事の実現はあり得ません。
「可能性」から発想すること。
これしかありません。
「○○だから出来ない」という具合に「○○という事態」を主語にするのでなく。主語を「○○を実現す
るためには・・・」に変えることです。
それが「可能性から発想する」ということです。
今、ホロ社の目の前には様々な課題が山積しています。
経営の課題、現場の課題、将来性、人材などなど絶え間なく問題や課題が出てきます。
しかしどれもこれも「可能性」を見出すところから始めなくてはなりません。
「考えること」
「気合と根性」
これは人間のみに与えられた唯一の特権なのではないでしょうか!
 
長田 一郎