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マンスリーレポート

2008年12月

「生産性と信頼関係」

 

今年もあとわずかで終わります!
ホロニック社が創業して丁度10年が経ちます。
思えば98年12月に会社を登記しました。
当時の社員は私含め5名、当時運営しておりました神戸御影の蘇州園という結婚式場を継続して行うということでしたので、日常の仕事の外見大きい環境の変化はありませんでしたが、それまであった会社の看板とかお金などという後ろ盾はなくなり、加えてスタッフという人材や施設を預かる責任など抱えるものが増えたことで大きな節目になったことは間違いありません。
それから10年、姿形は大きく変わりました。
その時居たスタッフはもういません、またその時の事業も、今はしておりません。
その時掲げた会社の向かう指針と今の状況とは、ほぼ違う方向に行っております。
(というかその当時は、コレといった確固たる方針などなく、今思えば何も考えていない、ただ目の前を生きるといった感じだったのだと思います。)
企業は創業して10年で9割は無くなるといわれているそうです。
そういった意味では、今潰れずにここまで、また尚且つ成長し続けられています事をホロニック社に関わる、もしくは関わったあらゆる人たちに感謝したいと思います。
10年経って、変わったものだらけです。
私自身の内面や志向なども随分変わったと思います。
しかしながら当時より何も変わっていないことがあります。
それは当社のコンセプトブックに書かれている内容、・・というかその「思想」です。
「個と組織の有機的結合」「ESから・・」「ベストよりパーフェクト」「主体的であること」「誠実さ」「常に価値の創造」などなど
その柱は未だ一貫して迷いもブレもありません。
もっと言うと「拠り所」といってもいいくらいに私は思っております。
10年で捨てたもの、失くしたものは数知れず・・・です。
しかしそれ以上に得たものの方が多いのだと思います。
だからこの会社は存続しているのだと思います。
まさに波乱万丈、良い思い出などあったのだろうかと感じるくらい、厳しいこと、思い出したくないようなことばかりが甦ってきます。
何度も何度も越えなくていけない壁や台のようなものが立ちはだかって、その都度何とかクリアしてきたり、もう駄目だというときにどこからとなく救いの手をもらったりして、そんなフラフラな目にありながらも、それでも懲りずに新しい挑戦を続けるなどしてやってきたように思いま
す。
10年もやって、たかだか30億規模の会社です
人によっては、凄い飛躍だと言ってくれる人もいないことはありませんが、しかしながらホロニック社が世の中、社会の中で「なくてはならない会社」「なくなっては困る会社か」というと残念ながら全然まだまだでしょう。
まだまだと思うから、次があるし、次へ次へという志向が高まる。
そう自分を励ましながら?今なお奔走中です!
ホロニックのそもそも思想の原点は
「組織は人々の活躍の舞台であり、主役はあくまでも個人」
または
「活力ある個とそれが集うダイナミックな場から新しい知が生まれる」
この考えは一貫しています。
ブレも迷いもありませんが、それらを実現させていくために不可欠に必要なことがあることに最近気付いてきました。
それは
「上司部下、同僚などの縦横の個々人の間の信頼関係」
または
「会社(組織、経営者)と従業員の信頼関係」
信頼関係さえあれば、必ず組織は活性化するのだと思います。
最近は「多様化」という言葉で「人もいろいろ」「人生いろいろ」なのは当然のように考える人が増えてきました。
人の価値観はそれぞれ違うことは自明の理ではありますが、会社としてはそれでも同じベクトル(方向)に向かっていけるようにしていかなければいけないと思います。
皆が同じ方向に向かっていけるようにするためには、経営者が向かう方向、向かいたい道を掲げ示していく、そしてそれをしっかり伝えていかなければいけません。
そこは経営者の努力しかありません。
どんな努力か?
いわゆる「力づく=理解させる努力」ではありません。
「理解してもらう努力」でしょうか。
理解してもらう一番の近道は何か?
こちらが(相手を)「理解する」ということ
つまり「信頼する」ということ
いわずもがな信頼関係はお互いのものですから、どちらが一方のものでは関係は成り立ちません。
しかしながら、お互いが同時に信頼関係を持つというのはかなり至難の業でしょう。
どちらかが先であるはずです。
万が一の確率、恋愛でもお互いが会った瞬間に同じ感覚や空気で結ばれることもあるようですが、それはかなり稀なケース、ほぼあり得ない確率です。
それと同じように経営者にとっても、その努力は、経営者が先に従業員を信頼することなのではないかと思うようになりました。
さらっとキレイ事を書きましたが、一方でこれは結構難しい・・・
人間は普通・・「(相手が)信頼してくれている(またはそう感じる)から、相手を信じるようになる」ような気がします。
身も知らないような人をいきなり信じたりしませんよね、普通は・・
ですから経営者は「普通」ではいけないのではないかと思います。
こんな言葉を聞きました
「組織を束ねるリーダーと個人の二者が共鳴してこそ競争力を再構築する」
「人と組織が同じ頂点を目指すことの原動力は双方が“認め・信じる”こと」
適切な例えかどうか微妙ですが・・・
「セクハラは何をされたか、でなく 誰にされたかが問題なのだ」
同じ行動をしていても「しつこい」と「熱心」の評価が二分されたりします。
この差は「信頼」の差
そう考えると信頼関係があれば、おおよその問題は解決し(そもそも起きない?)、また労力やコストは削減出来るように思います。
信頼しないことによる労力・コストは計りしえない。
「信頼残高」という言葉があります
文字通り「信頼の蓄積された量」です
預金残高が「預けたお金が蓄積された量」という意味と同じです。
信頼残高は、信頼されなければ増えません・・、ということは「(こちらが相手を)信頼する」ことから始めなければ増えません。
信頼残高は、信頼を得ることを求めて増えるのでなく、信頼を与えることによって増えてくるように思います。
経営者は「信頼残高」が高くなくてはいけません。
ホロニック社は10年を経過し、まだまだ発展途上会社ですが、この10年を節目、転換期を境に、この「信頼残高」をさらに増やしていき、それが貸借対照表に現れない企業の貴重な「純資産!」として社会にとって価値ある会社になっていくのだと確信し、邁進していきたいと思います!
 
長田 一郎