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マンスリーレポート

2009年07月

人件費はコストか?

 

よく「会社は人材が全て」と言われます。
私たちのようなサービス産業においては、特に言われます
「人材が全て」ということは、人材は企業にとって財産であり資源、資産とみなし、それが蓄積されていかなければ組織(企業)の発展は見込めないということなのでしょう。
それなのになぜ「人件費」は“コスト”や“経費”という概念で私たちは捉えてしまうのでしょう?
とかく「人が大事」といいながらも、現場では人手が居なくて緊急的に人を採用することが多いです。
しかもその人の能力や志向をしっかり確認せず、また組織の方針や将来のビジョンとの摺り合わせなどせずに「経験者」といった要因などを優先し、「足らずの場に埋める」という現象です。
この現象を起こしている私たちは本当に「人材が大事!」という観点で仕事をしているのでしょうか?
例えば「家=住宅」を買おうとする時、取りあえずその場の生活を凌ぐために買うでしょうか?
家といえば「資産」ですね。
いわゆる「資産」「財産」といったものを手に入れようとするときには、こちらの「想い」と摺り合わせしませんでしょうか?
そんなつもりで「人材」をみなしていなければ「人は財産だ!」などとは言ってはいけないような気がします。
「現場を回すこと」は大事です。
現場が回らなければお客様に迷惑がかかりますし、また満足度を高め、それが再来店につながるという集客施策すらままならなくなるのは事実です。
ですが、私達は「現場を回すことは」は目的ではありません。
目的は、「顧客満足」や「リピート」して集客を高める=収入を高める、ひいては「利益を確保すること」です。
従ってその目的実現のための手段として「現場をしっかり回すこと」が大事
その大事な現場を回すのは誰でしょうか?
いわずもがな「人」
だから「人材は大事」なわけです
その人材を現場や会社を回すために手段としてでしか捉えていないうちは、販売管理費と同様人件費も「費用」という概念になってしまうのかもしれません。
「ハコモノ商売」「装置産業」「立地が命!」というように言われているホテル業界です。
つまりそれは「人」以前に「不動産」に価値があるとみなされる業態であるということ。
それは“事実・現実”であることは否定しませんが、そこに「信頼ある運営」があることによってその「ハコモノ=装置」に本当の価値が出るものであるということもまた誰も否定できないと思います。
「信頼ある運営」とは、ブランド力とか、ホスピタリティ力とか、効率的な運営の仕組みとか、マーケティング力、集客販売力とか色々ありますが、それはどこから生み出されるものでしょうか?
「人の力」ではないでしょうか?
甲子園球場も今年からきれいにリニューアルされましたが、このハコモノを維持するためには観客が来て入場料という収入がなくてはなりません。
その入場料をもらうためには、野球の試合が開催されなくてはいけません(もちろん野球だけでなくてもいいのですが・・・)
野球の開催だけでは充分条件でなく、観客を集めるだけの人気の出る催事でなくてはいけません、
人気の出る試合(催事)とは、人気のあるチームの試合
そう「阪神タイガース」が人気なくてはなりません、
そのタイガースを構成しているのは・・・・「選手」です、そう「人材」です。
人材の活躍なくして「ハコモノ、施設、装置」は維持できないのです。
ということは、人材は「コスト=経費」ではありません。
金本選手を「費用」と見る人は居るでしょうか。
阪神タイガースにとっての「宝」ではないでしょうか?
若手二軍選手などは「金の卵」です。
いずれにしても「資産」か「資源」です。
毎年解雇になる選手も少なくない世界ですが、人材を「費用」と考えているうちは決して「金の卵」が孵化することはないのではないでしょうか?
「君は会社の経費(費用・コスト)だから・・・コストに見合う仕事やっといて・・」などと言われると(まあそんなこと言われないでしょうけど、もしそんな体質の空気の組織であれば)、せっかくの「金の卵」も浮かばれません。
「どうやったら人件費は下がるのか?」ということに日々格闘している社長やマネジメント層はたくさん居ます。
私もそう考えてしまうことが一切ない!かというと・・・無意識に思ったり、口にしたりしている時もありました。
でも「人件費率をどうやって下げるか!」と考えることはあっても、「人件費をどうやって下げるか!」とはあまり考えません。
しかし皆さんよく考えてみてください。
「どうやって人件費を下げるか」と考えている経営者の下で仕事しようと思いますか?
私はどうやったら「人件費は上げられるのか!」を考える経営者になりたいと思っています。
人件費を上げて、人件費率を下げるということです。
そのためには収入や収益を高めなくてはいけません。
収入を上げるためには、いかに支持者を増やすことです、買いたいと思ってくれるお客様を増やすことです。
そこに心焦がしながらやる人材は大きな資源です。
収益を上げるのは、いかに品質を下げずに効率的に業務が流れるように考えることです
その手段に原価などの「コストダウン」もあるでしょう(それも“手段”のひとつに過ぎませんが・・)。
そんなことを考える人材も組織にとっては大きな資源です。
この「収入と収益」を上げることが出来たら確実に人件費はあげることが出来ます。
なぜなら生産性が高まるのですから!
社員に分配できる、いわゆる“原資”が増えるのですから・・
どんな世界でも「儲かっている会社(収益性の高い会社)の社員給与は高いです!」
そして人件費率は低いのです。
ひとりあたりの人件費が高くても売上も高かったら人件費率は下がりますよね。
ひとりあたりの人件費が高くても収益が高かったら人材に分配できる余力が高まりますよね。
すると、会社も個人も思い切ったことが出来るような体質になります。
もちろん人材、そう皆さんの能力や技術などの「チカラ」が蓄えられます。
なにより「強い自分」になります。
業界基準がこうだから・・と言っている場合ではありません
普通こうだから・・・と言っている場合でもありません。
そもそも「普通」というのは過去の体験から来ています。
新しい事業モデルをつくろうとしているホロ社にとって、「過去=普通」は意味をなしません。
ホロニック社のチャレンジとはまさに「イノベーション」、訳して「創造的破壊」
これまでホテル業界も多くの先輩達が築いてきた“礎”というものがあります。
それを否定するつもりは毛頭ありませんし、またそんな資格もありませんが、少なくても何もないところから始まったホロ社がこの業界の中で影響を及ぼせる企業になるのは、「これまで通り」やっておってはその目的は決して果たせないと思います。
イノベーションを起こしていく気概は少なくても私たちが生き残るためには必須なことであることは間違いありません!
 
長田 一郎