2017年06月
「リーダーの力」
個人と組織は一見相反する印象を与えるが、決してそうではない
個人を「点」、組織をその多くの「点」によってつくられる「線」だとしよう。
力強い点が多ければ線も太くなる。
そう考えると、組織の強さには点の強さが必要だ。
個人の力の集積が、イコール組織・チーム全体の力につながっていくのだ。
チーム・組織として最大限の利益を得られように。瞬時に個々人が判断を共有し、己が成すべき行動へ即座に移る。
その連続がチームとして組織として動くことに他ならない
つまり組織とは本来、個々人が己の持つ技術や創造力を最大限に発揮したところに成り立つものであり、それが出来る組織こそが強い組織というものだ。
強い組織には強い個が必要なのである。
個を個として自立させ、その能力を最大限に引き上げなければ強い組織はつくれない。
この冒頭の文章は「ホロニック」という会社の根源の意味をそのまま表現しています
しかし、これは私の言葉ではありません
ラグビー元日本代表・故平尾誠二氏の著書「人を奮い立たせるリーダーの力」に書かれている一節です。
平尾選手はラグビー界のスーパースター
私はラグビー観戦が趣味、偶然にも同じ大学(同志社大学)、同じエリア(神戸製鋼)を過ごした平尾氏のこの考え方にはずっと共感しておりました。
かつて講演を聴いた際に言っていました。
「上司にこの組織はどこに向かっていくのですか?と問うたら、その人、お前、それはお前が決めるんや!!と言われたそうです。
なんちゅう会社やと思ったけど、同時に、そんないい会社ないわ!!と思ったそうですよ!!!そうじゃないですか??
だって自分でビジョン決めていいなんてそんなワクワクすることないじゃないですか!!」と話していました。
当時、平尾氏は神戸製鋼という会社のサラリーマン、ないしはラグビー協会という組織の一員でしたが、いわゆる「サラリーマン的意識」のない人のようでした。
私は、当時(10年近く前でしょうか・・・)、社長としてとても悩んでいました。
「強い個」が有機的につながることで「強い組織」になるという、まさに言葉でいえば冒頭の文章のようなことをそのまま志向していましたし、
その意味合いに惹かれて「ホロニック」という社名までつけて経営をしていました。でも全くうまくいかないわけです。
チャレンジ出来る環境をつくっても、思うように機能していかないこのムードは一体何なのだろうと・・・
もしかして自分の考えているこの志向は間違っているのだろうか??と・・・
でも、この講演を聴きながら、「こんな人おるんや!」と思って大変私自身心励まされたことを覚えています。
氏の著書に中には昔から「個と組織論」がラグビー活動を通じた実践からたくさん記されていました。
ラグビーという競技は、選手がグランドに立って試合が始まるとコーチや監督の指示が出せません・・・
というかコーチ席がスタンドにあるわけなのでそもそも声が届きません!
しかも15人同士というスポーツ競技上最も多い人間同士で戦います。
フォワードとバックス、その他個々の役割がここまで細分化されて行われる競技は他にないのではないでしょうか?
つまり、個々の能力(身体能力だけでなく、想像力も)、や意識の独立性や自立性が最も求められるスポーツといっても過言ではないでしょう!
そんな個性を引き出し、組織で勝つ、「One For All All For One」(ひとりは皆のために、皆はひとりのために)という精神が重視され、
それをマネジメントしていくリーダーシップが強く求められるわけです。
リーダーシップはキャプテンなどリーダーといわれる立場の人間が一人で担うものでなく、その場面、その場面で替わってもいいと平尾氏は言っています。
そして完成度の高いチームは、関わる全ての人が「チームは自分のもの」と答える・・・と
ホロニックは今期20期を迎えています。
社歴としてはまる18年6ヶ月
「個と組織の有機的結合」というコンセプトは会社の業態が変化しようとも、普遍的なものです。
ここだけは変わりません!
「ホロ社は自由な社風ですね」といわれることが多いです。
しかし、自由であればあるほど、「個の力」が強くなければ、「自由な社風」と誇ることは出来ないと思います。
個の力を「自分のこと」で捉えていると「強い個」には決してなりません。
「ひとりよがり=強い個」ではありません
全体最適を目指す、全体をよくしていく志向、全体に貢献する、奉仕する志向が芽生えていくこと、
組織を「自分のチーム」と捉える思考が本当の「強い個」なのだと思います。
そして「強い個」の集積が「強い組織」なのだと思います。
ホロ社は「強い組織」を目指していきたいのです!
そのためには「強い個」、、、、
だけど「強い個」は「自分のことでしか捉えない個」であっては決して「強い個」になっていくことはないのだと思います。
先々月のマンスリーレポートで紹介したクロネコヤマトの社訓にこんな言葉があります。
ヤマトは我なり
これは「自分自身=ヤマトという意識を持ちなさい」という意味で、全員経営の精神を表した言葉です。
社員一人ひとりの力を結集した全員経営の精神がヤマトの出発点です。
ホロ社は社名からして創業以来それを謳っています。
20年近く社長をやっていて、改めてこれからリーダーシップを発揮していかなければいけないことは、
まさにこの「ホロニック」という概念の体現なのだと私自身、心しています!
そして「リーダーシップを育む環境」をつくっていくことがリーダーの力なのだと言い聞かせ自分を奮い立たせています。