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「顧客の創造⇔長期利益」

偉大な経営学者・ピータードラッカー翁が「経営の目的は顧客の創造」ということを唱えましたが、それって「長期利益」というようにも言い換えられるのではないかと思うようになりました。よく、「会社は誰のものか?」とか「企業で一番大事なものとは?」みたいな問いが経営をしているとよく問われます。その中で必ず出てくるのは、前者で言えば「従業員」「株主」「お客様」「経営者」「得意先」などなど・・・後者だと「利益」「顧客満足」「社会貢献」「「従業員満足」などなど、これらにどれが正解なのか?と順列をつけたがる人が多い。利益と満足が相反されるように理解している人も多いので、さあどっちだ!!と凄む批評家的な人も多い。
(企業が利益を出すということは、顧客の満足を搾取する、また顧客満足を追求すると利益がなくなる的な)
会社と従業員の関係にしてもしかり、株主は会社が利益を出すことで株価や企業価値が上がるので、コストを下げることや売上を上げることを要求してくる、いやいや、企業も社会の公器なので、社会に還元しなければいけない・・・最大の社会貢献はたくさん税金を払うことですから、だったら法人税をたくさん払うのが理にかなっている、だったら、寄付や社会活動をPRする前に利益をちゃんと出すべきだ!社員の人件費を下げようとすることはコストを下げることになるけど、モチベーションの低下になるのは正しくない!人材は宝(資産)って言っているのに経費ととられるのは矛盾ではないか・・・などなど色々な考え方が交錯しているのが経営です。
しかし、色々私なりに勉強していくと、「長期利益」を実現することがその矛盾を全て解決するのではないかということに行きつきましたアメリカの第16代大統領・リンカーンの言葉ですが
「一部の人たちをいつまでも騙すことはできる、また全ての人を一時的に騙すことはできる。しかし、全ての人たちをいつまでも騙すことはできない」
この引用から・・・一時的な利益は(偶然含め)捻出することはできるだろうし、倫理外した(合法であっても)利益の出し方など対処的などはできるかもしれないが、いつまでも安定的に利益を出し続けることは簡単なことではない、簡単ではないけど、安定した利益を出し続けることが実現されたら、それは上記に掲げた様々な経営に必要とされる対象やニーズを全て充たすことが出来る。なぜなら、長期利益(=利益を出し続ける)がかなえば、いくら控え目に言っても、株主は潤い続けるし、従業員だったら安心してチャレンジできる「働きがい」を持てる環境になる。当然、長期利益(=安定利益)があれば税金を払うことになるわけですので原理原則的な社会貢献も勝手に?充たされることになる、当たり前ですが経営者も報酬原資は勿論、経営する上での原資が保たれるわけです。
生きがいも、やりがいも、働きがいも充たされるわけです。
顧客においては、いわずもがな、持続的な消費、それに対する供給関係が安定的に成立することが長期利益の源泉(その需給が最適になる関係性がなければ長期利益は成立しないし、長期利益が成立する前提にその最適関係にあるはず)になる。だから「長期利益」は唯一にして最大の経営のポイントだと思います。
一橋大学・楠木建教授著「ストーリーとしての競争戦略」という著書の中で唱える公式があります。
「WTP-C=P」
Willingness  To Pay,,,・・・これ和訳すると、「顧客が支払いたいと思う意欲・・・」
これ会社側から見ると「売上」
Cは Cost(コスト) PはProfit(利益)
だから企業経営は、このWTPを上げるか、Cを下げるか、またはその両方か
この3つ・・・これ以上もこれ以下もないシンプルな話です。
ここが経営者の役割であり責任ということです。
私たちは、「売上を頑張ってあげる!!」と掛け声を上げるのでなく「WTPを上げよう」とマインドリセットすべきなのだと思います(やることや結果は同じことなのですけど・・・)
顧客が払いたいと思う商品、サービスは何か?・・・ここの追求が顧客の創造に他ならないと思います。そして、ここからが肝心なのですが、「顧客の創造」は「顧客のニーズを満たす≒顧客満足」ということに他ならないし、それは古今東西、多分未来永劫変わらないことだと思いますが、この「ニーズ」のレベルが常に変化しているということです。つまりそれって「市場(しじょう)」が変化しているということです。だから、「顧客の創造」とは「顧客の満足」だけでなく「市場を創造する」・・・新しい市場を築くということなのだと思います。コロナ禍前後から、「VUCAの時代」と称して先行き不透明な時代をどう生きるかみたいに言われています。
(Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉)
確かに、今から約50年前の東京五輪の頃は、テレビは町内に1つ(近所の人が集まって日本選手の活躍を応援していた)ような時代、自動車にしてもしかり・・・モノが不足している分、地域の相互扶助的コミュニティがありましたが、それ以来、様々な生活様式の劇的な進化に伴い利便性を求めて、モノが売れてそれが経済成長をかなえていきました。しかし、今や消費者の利便性は凡そ充たされて、もはやインターネット、ないしはスマホまわりのものしかあまり利便性へのニーズはありません(テレビに至っては利便性追求してリモコンボタン増やし過ぎてむしろ不便になったりしています)つまり、成熟した消費社会において、なりたいあり姿・・・つまり国民全員が一致して求める「正しい解」がほぼ充たされ、今や矛先が不明瞭になってきている。だからこそ、VUCAとか多様性とかと言われているのでないかと思います。そんな、正解がなんだかわからない時流にこそ「予測」や「予想」をすることの価値はなくなってくるのではないでしょうか?とすると大事なことは「構想」
「~なる」(予測・予想)でなく「~する」(構想)という意思が大事だということだと思います。そのために必要なことは「学ぶ」こと、知識を蓄え、教養を養うことです。経営においては「顧客のニーズの追求」に変わりありません、それは、「市場の創造(開拓)」ということとほぼ同義語です。しかし、それを予測するということは、まさにニーズが不透明で不確定で変動し、複雑で曖昧、不明確なわけですから、(予測)不能ということです。なので、「構想する」しかありません、切り拓くしかありません。
隣の芝を見ている場合ではなくて、その向こうにある世界は何か・・・
そしてかつてのように「ひとつだけの正解」がないわけなので、そこに「正誤」「良悪」はありません。
むしろ「好嫌」かもしれません。企業存続の肝は長期利益、その源泉は構想すること・・・繰り返しになりますが、そこにたったひとつの正解や原則はないわけなので「右脳の力」をどれだけ動かせるかが大事になってくるのだと思います!
右脳・・・つまり感性脳、イメージ脳・・・それをフル稼働させて「(顧客≒市場が、支払いたいと思う意欲」を創造する。
まさに右脳を鍛えること・・・それが長期利益を支え、そして顧客の創造をかなえる原動力になるのだと思います