「セトるセトラー」
「ヤフーでググる」「私のipadはソニーだ!」
一昔前なら「俺のウオークマンは松下のだぜ」
これらはわりと滑稽なようでいて、いやいやそうでもないのではないでしょうか?
その企業の商品やサービスという本来固有名詞だったものが、一般名詞化されている言われ方
わかりやすい例で「セコムしてますか?」(全日警してますか?なんていう人は皆無)
社名が一般動詞化しているパターンです。
外国では
「I am starbucksing now!」(今スタバしているよ!)
これら競争戦略を専門にしている楠木建教授の講義からの話です。
イノベーションは必要だ、DXだ、、ダイバーシティだ、ライフワークバランスだ・・・とコロナ禍で加速されたこれらのキーワードですが、これまでそれぞれに細切れに叫ばれていたこれらの概念が同時多発的に沸き起こっているのが昨今です。
考えてみれば、ライフワークバランスが必要ならばダイバーシティ(多様性)という概念の理解が土台になくてはいけないし、イノベーションが必要ならばそもそもDX(トランスフォーメーション≒変身や変態?)が起こるはずなわけですし、ダイバーシティの概念があるからこそイノベーションの気運?が高まる。これらは本来ブツ切りされたそれぞれでなく、すべてつながっているべき概念なのではないかと思います。さて、イノベーションというと進化と混同されやすいですが、19世紀の経済学者・シュンペーターが提唱したその意味は「創造的破壊」つまり・・・創造するために既存(概念)を破壊する・・・それって誰もが知る言葉でいえば「新陳代謝」です。だから、「進化」とは少し意味が違います。4Gから5Gへ・・・とか、携帯電話が通話主体から画像が撮れるようになり、メールが打てるようになり、そしてインターネットが出来るようになる・・・これはイノベーションでなく、通称「凄い進化」だということです。
技術の進化が起きることで利便性を増していく変遷というのは「よりベターに」という話です。
ちなみに、セコム社の仕事は、かつては警察の仕事だったはずです。警察の領域では不安が取り除けない世の中になったので出てきた事業であり、業界ともいえるでしょう。それはやがて、警備員から機械による省力化で進化もあったかと思いますが、そもそもの「警備」という概念を変えた(というか警備業という概念をつくった)わけです。スタバもそうです・・・そもそも昔から喫茶店や茶店はあったわけで、同じようなカフェだって星の数ほどあったわけです。これまでは、出来るだけ美味しいいコーヒーを、出来るだけ低価格で、出来るだけよいサービスで・・・という「よりベター」な競争に同業他社群は邁進していました。そこに、カフェの業態でありながらそのような「よりベター」な着眼でなく、オフィスでもない、家でもない、それを「第三の場所」と再定義して、そこでくつろぐ時間に価値を見出し、それにコーヒーという付加価値を付ける・・・つまりスタバは30分~1時間を第三の場所として休息する場所貸屋(おまけにコーヒー)という新たな市場(価値観)を築いたわけです。だから、カフェという同業に見える他社と競合するのでなく、概念を変えたのです。それが「スタバする・・・」みたいな言葉が出てくる所以です。新しい市場を創ったのです、新しい価値観を、既存の業態の中で「ベター」(よりよく)でなく「ディファレンス」(いかに違う)で次元を変えたわけです。それはもはやスペックでなくコンテンツ、そして必要な資質はスキルでなくセンス。そしてそのセンスの要諦は「良し悪し」「正誤」でなく「好きか嫌いか」という話です。それってまさに個々人に拠るものに他なりません・・・好き嫌いなので、それって人の感情や心理です。そいえば子供の頃、好き嫌いなくなんでも食べなさい・・・と母親に言われた人が多いと思いますが、それは全く正しい、良し悪しの話です・・・が要するに良し悪しは誰もが一緒にインプットされ習慣化されます、それが先入観にもなっていきます。
一方で「違い」は好き嫌い・・・この「違い」・・・それを言うならば「余人をもって代えがたい」がキーワードということです。
冒頭で記した企業群が一般名詞化される、ないしは動詞で使われる。これこそ目指す方向性なのではないかということです。さて、セトレ・・・私の知人で「セトラー」という表現で自身を名乗っている方がいます。想像通り?セトレ好きな方です。どこのセトレが好きか?セトレのどこが好きか?・・・でなく、セトレの世界観がなんとなく好きな人です。そんな人はむしろ現時点ではかなり希少人種?なわけですが、セトレが目指すところはそんな「セトラー」とか「セトる」などという表現をしてくれる人をどれだけ増やすかってことです。そのために私たちに求められることは、繰り返しですが「余人を持って代えがたい!」
逆に(換言)言うと、代えの効かない余ってない人(ホテル・商品)
個性という一言に尽きるでしょうか・・・
それが「いかにdifference」という思考や行動に重心を置くかです。
「セトる」ってどんなん?ということを追求していくことで、それが普通名詞、一般動詞になっていくかもしれません。
その時にセトレは本当のブランドになる。そう考えるとまだまだ道のりは遠いですが、しかし、その「標(しるべ)」がわかると向かっていきがいがあると思います。セトラーをつくる、セトる、を一般動詞に・・・これを合言葉にしていきたいと思います。